第258話夏休みは計画的に ! ①

【忠夫side】


 水族館に行くのは夏休みに成ったのだが、メンバーが結構な大所帯に成った為に達也と一緒に担任の由利子先生に相談した。

 メンバーリストを見た由利子先生が


「 ………保護者は誰かあてはあるのか ? 学生だけの団体行動は保護者が居た方が良いだろう」


「それを由利子先生にお願いしちゃぉ~かなぁ~と思ったりしちゃったりしたんですが頼めますか ?」


「う~ん、私一人でこの人数は少々キツイな ! 問題児が複数居るしなぁ~」


 ジロリと俺をにらむ由利子先生を達也が、


「 それなら俺達の担任のハルト先生も一緒なら大丈夫なのでは ?」


「それでも良いんだが、移動手段が私の車しか無いから全員は乗せられないぞ !」


「「………………」」


 俺と達也が押し黙っていると


「それなら『ダイテツ※』から運転手ごとバスをレンタルすれば良いんじゃないかしら」


「 由利子ちゃん、その遠足には私達も一緒に行くから保護者の件は大丈夫ですぅ~」


「真知子、瑠奈るな、貴女達 聞いていたの ? 」


 C組の担任、副担任の浦和うらわ真知子先生と館林たてばやし瑠奈先生が助け船を出してくれた。

 何でも二人は大学生時代から由利子先生の親友だと云う話だ。

 既に二人共、結婚しているのが残念な程の美人教師なんだよな。


「貴女達、旦那の事は良いの ? せっかくの夏休みなんだからデートの約束とかないの ?」


「 由利子、聞いてよぉー! 健太くんたらね、急に仕事が入ったからデートが延期に成ったのよ ! 健太くんの上司の意地川いじがわ累増るいぞうがイジワルをしているんだわ !

 独身時代の私にフラれた嫌がらせに違いないわ ! 」


 あの真知子先生が怒っていた。

 中学一年の時に和茂のバカが真知子先生のスカートをまくった時にも怒らずに


「イヤァ~ン、まい◌ちんぐ !」

 と、言って恥ずかしそうにしていたのに怒ることもあるんだな。


「由利子ちゃ~ん、わたるくんたらね ! クライアントが急に締め切りを前倒ししたからって会社で寝泊まりして帰って来ないの~ !

 あんなブラック会社を辞めるように言っても『皆に迷惑をかけるから、もう少し頑張るよ』と言って、渡くん一人くらい私が食べさせてあげるのにぃ~」


「瑠奈、男のプライドを立ててやるのが良い女と云うものだぞ !」


「「「「……………………」」」」


 ハルト先生と付き合う前の由利子先生だったら、


『私の前で惚気のろけるな !』

 と、怒っていただろうに男(彼氏)が出来ると、こうも変わるものだろうか !


 真知子先生達のお陰で移動手段は解決したが水族館に行くメンバーが更に増える事になるとは、この時には思いもしなかった。



 ※ダイテツ………大関東鉄道株式会社………バス会社で普段は路線バスを運航しているが、レンタルバスも営業している。(架空の会社です)

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