第255話 馬謖 VS 呉学人 ②

【良純side】


 ピンチだ ! ………今月のお小遣いが、もうわずかしか残っていない。

 その上、馬謖たち深雪、博子に 乙女ゲームを二本も送り着けたためなんだが、奴らは俺の策を見破ったのか、乙女ゲームにハマっていないようだ。


 くっ、この俺こと菖蒲あやめ学園の呉学人ごがくじんの策が、たかが馬謖ばしょくごときに見破られるなんて、


「 この俺がミスだと !

 いやいや、そんはハズは無い !

 きっと好みのゲームじゃ無かったに違い無い !

 よし、今度は お隣の国の『◌流恋愛ドラマ』でも送り着けて『◌流ドラマ』にハマれば、奴らの恋愛フラグをへし折ることが出来るな、流石『俺、呉学人』様は馬謖と違い直ぐに次善の策が浮かぶな !」


呉先生良純よ、確か もうお小遣いが少ないとか言っていなかったか ?」


 和茂かずしげが、『ドキ・メモドキドキ・メモリアル』のヒロイン『 清水寺 望海のぞみ 』『 富士山 詩織里しおり 』の抱き枕を抱えながら言ってきた。


「あぁぁ、俺は何て云うミスをしていたんだぁー !

 お小遣いがピンチなのを忘れて通販で注文してしまった !

 和茂、お前も協力してお小遣いから出してくれよ !」


「………無いよ、『ドキ・メモ』のヒロイン 13人分の抱き枕を買ったから俺もお小遣いが、すっからかんだよ !」


「 お前はバカか !

 何で そんなに抱き枕ばかり買っているんだよ !」


「いやぁ~、 コレクター魂に火がついてしまって コンプリートしてしまったんだよ」


 ………この脳筋に相談した俺が間違っていた。

 後は、兄貴達か親父に頼むしか無いんだが…………どちらに頼むのも嫌だなぁ~

 俺には三人の兄貴が居て、長男の信輝のぶてるは、県議会議員の親父の秘書をしているのだが、弟の俺が云うのも何なんだが 物凄く嫌みたらしい性格破綻者だ 『お金を貸して欲しい』なんて頼んだら、どんな嫌みを言われることやら………これは無しだな !

 次男の博幸ひろゆきはエリート証券会社の証券マンで、お金の事にはウルサイから頼みたく無い !

 三男の隆幸たかゆきは、良い兄貴なんだが 売れない画家で 常に金欠であてには出来ない。


 こうなったら親父である『神宮坂 新右衛門しんえもん』に頼むしか無いんたが………短気で気が短いから、なるべくなら頼みたく無いんだよなぁ~


「和茂、お前の方で何とか成らないか ? 」


「無理だな、既に来月分のお小遣いを前借りしているから、これ以上は貸して貰えそうに無いよ 」


お前和茂、抱き枕の他に何を買ったんだ ?

 俺もお前も他の同級生よりお小遣いを貰っているハズだろう !」


「………『ドキ・メモ』声優のボーカルコレクションのCDや『ドキ・メモ』のファンディスクとかを買い漁っていたら、アッ と云う間にお小遣いが無くなってしまったんだよ」


 ………この脳筋に相談した俺が馬鹿だった、仕方がないかぁ~

 夜には帰ってくるハズだからしかられる事を覚悟した頼んでみるか。




 遅い時間に帰って来た親父は難しく顔をしていたが、


「あまり無駄遣いをするなよ !」


 と、言いながら臨時のお小遣いをくれたのだが、クソ兄貴信輝が散々 嫌味を言いながら俺に『恩』を売ろうてしていた。


 俺は絶対に政治家には成らないからな !

 将来は、イケメン俳優に成って見返してやる !………と、誓った俺だった。


 俺に これだけの苦労をさせたのだから、絶対に『策』を成功させてやる !

 呉学人良純馬謖深雪、どちらが菖蒲学園で一番の軍師か見せてやるからな !

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