第252話 ささやかな野望

【勇気side 】


 由利子先生がハルト先生を連れて実家に紹介をしに帰ったのだけど、両親が物凄く喜んでくれたみたいで良かったね。


 このまま結婚したら由利子先生の実家に住むのか二人で新居に住むのか聞いたら、


「すまない、本当にすまない ! 私もハルトも家事が壊滅的に出来ないから、このまま居候させて貰えると助かるんだ。

 もちろん、家賃と食費プラスαを払うので頼む ! 否、お願いいたします !」


 と、由利子先生の頼みをジンは二つ返事で了承していた。


「 良いの ? 最大で僕達、お嫁さんが 5人に子供が出来れば 大人数に成ってしまうよ」

 僕がジンに聞いたら、


「大家族って僕の夢だったんだよ、 ユウキ !

 両親は共働きで、何時も一人で食費を作って一人で食べていたから、今の生活が凄く楽しいんだよ !

 由利子先生もハルト先生も僕に取っては、お兄さん、お姉さんみたいで嬉しいんだよね。

 きっと僕達の子供や由利子先生達の子供は仲良くやっていけると思うんだ !」


 ………そう言えば、ジンの両親は事故で……………ジンに取っては、ハーレムと云うより家族だったんだね、僕達は。

 わかってはいたんだけど、ジンが積極的に『H』をしようとしないのも僕達を大事に思っているからなんだね。


 最初は、僕と楓と瞳の三人が居れば良いと思っていたけど、そこに アリスや真理ねえが加わった。

 普通ならもう少し空気が悪く成っても可怪おかしく無いハズなんだけどジンのやわらかな暖かい雰囲気が皆を仲良くさせているんだと思うんだ。

 うん、僕たちなら皆で仲良くやって生けると思う。



「 おーい ! お昼御飯が出来たぞー ! 」


 お握りしか作れなかった瞳も少しずつ料理を作れるように成ってきた。

 今日は瞳特製の炒飯チャーハンだ。

 自分のマイ中華鍋を使い豪快に鍋を振るっている。


「家庭用のコンロの火力だと、今一『パラッ』とはいかないな ! 」


 去年の今頃の瞳だったら言えないセリフだね。

『僕も負けないように頑張らないと 』と思うくらい皆が努力している。


「裏庭の畑から『トマト』と『胡瓜きゅうり』を収穫したで~す !」


「 ア~、暑かった ! 麦茶、麦茶、頂戴 !」


 アリスと楓が家庭菜園から野菜を収穫してきた。

 今年も豊作だね、去年を思い出すよ。


 真理姉が料理を配膳しているので急いで僕とジンも手伝った。

 由利子先生とハルト先生は一緒にビールを片手に炒飯を食べている。

 いくら日曜日とは云え、昼間から呑んでいるけど大丈夫かなぁ~、

 御飯を食べ終わった後も畑で取れた胡瓜やトマトをツマミにして呑み続ける二人……やがて、何時ものようにウトウトし始めて眠ってしまった。

 こうして見ると本当にお似合いの夫婦みたいだね。


 何時か、僕たちもお酒を呑むように成ったら あんな風に…………成らないようにしよう !

 自分達の子供には見せられない光景だものね。


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