第249話 妹は大変だよ! ニートの龍さんと妹、秋桜ちゃん ⑥

秋桜こすもすside】


 最近 お兄ちゃんが、ますますヒキニートをこじらせて外出しなく成りました。

 高校のテストで何か有ったようだけど私には教えてくれません !

 ダメなお兄ちゃんを社会復帰させる為に頑張っているんだけどなぁ~


 今日は由利子お姉ちゃんが王子様を連れて来るそうです。

 朝から伯父さんも伯母さんもソワソワしながら待っています。

 蛍ちゃんは『王子様みたい』と言っていたけど 私、秋桜は厳しい目で由利子お姉ちゃんの彼氏さんを見定めてあげるんだからね !


 ピンポ~ン ♪


 あっ、由利子お姉ちゃんだ ! 私が玄関を開けようとすると、


「 ダメだぁー! 開けるな、秋桜 ! 由利子姉ちゃんが来るには早すぎる !………


 ガチャリ キィィィィ 玄関のドアが開くと、そこには人魚姫が居た。


「来ちゃった !」


 ニッコリ笑う人魚姫に対してお兄ちゃんは頭を抱えていた。


「 貴女が秋桜ちゃんね。 私は由比ヶ浜ゆいがはま しずく

 龍太郎先輩の彼女(予定)です。 よろしくね、秋桜ちゃん」


 おっ お兄ちゃんに彼女 ! いつの間に……私の知らない間に、


「 はい、これはお土産ね。 秋桜ちゃんにはアイスをあげるね !」


「 わぁー! ガ◌ガリくんだぁー ! お姉ちゃん、ありがとう」


 うん、このお姉ちゃんは良い人だ !

 だって、秋桜に ガリガ◌くん をくれたからね !


 玄関の騒ぎを聞いて伯父さんと伯母さんが来ました。

 私がお兄ちゃんの代わりに説明して、雫お姉ちゃんも挨拶あいさつしました。


「まあ まあ まあ、今日は良いことばかりね !

 お父さん、せっかくだからお祝いに『お寿司』の出前を頼んで良いかしら ?」


「もちろんだ ! ………義兄さん、義姉さんの仏壇に供えるから『お稲荷さん』も取ろうか ! 俺が電話をするからお母さんは、お客様を案内してくれ !」


 リビングに案内される雫お姉ちゃんと顔色が悪いお兄ちゃん………

 お兄ちゃん、照れているのかなぁ~。

 私がサポートして雫お姉ちゃんに捨てられないようにしないと !

 やっぱり、お兄ちゃんは 秋桜が居ないとダメなお兄ちゃんだね。



 ピンポ~ン ♪


 あっ、今度こそ 由利子お姉ちゃんだ !


 ガチャリ キィィィィ 玄関のドアが開くと、由利子お姉ちゃんと…………白馬の王子様が居た !


「由利子お姉ちゃん、お帰りなさい !

 もしかして、この白馬の王子様が由利子お姉ちゃんの恋人なの ?」


「 こんにちは。 君が雫ちゃんだね、私はユリコの恋人の ハルト=ノースダコタ と云う名前なんだよ。 『ハルトお兄ちゃん』と呼んでくれたら嬉しいな」


 そう言いながら私の頭をでてくれた !


「ハルトお兄ちゃんは、学校の先生なんですよね ?」

 私が質問すると、


「ユリコと同じ高等部で1年B組の担任をしていま~す。 担当教科は『英語』ですね~ 」


 ゆっ 由利子お姉ちゃん、超大当たりぃー !


 優しくて経済力が有ってイケメンで高身長…………流石、由利子お姉ちゃん !

 略して『サスユリネエ』だね !

 見ると後ろに居た伯父さんも伯母さんも涙ぐんでいる。

 由利子お姉ちゃんも顔を朱くしているから嬉しいんだと思う !


「今夜は『お赤飯』ね ! あの由利子が、 由利子が………お父さん !」


「ああ、皆まで言わなくても分かっているよ、お母さん !

 でかした、由利子 ! こんな素晴らしい男性を恋人として紹介される日が来るとは…………父ちゃん、嬉しくて涙が出てくるぞ ! 」




 この後、皆で大宴会に成りました。

 新しいお姉ちゃんとお兄ちゃんが出来て秋桜も嬉しいです。

 でも龍太郎お兄ちゃんがだらしないので秋桜が一生懸命サポートしてあげるつもりです。



 ───この日、二組のカップルは少なくとも一組は幸せそうだった辛そうだった───



 ※ しあわせ と つらい の漢字は似ていますよね。

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