第186話 春休み ②
【 瞳side 】
「 晴れて良かったね、ジン 」
「そうだね、ぽかぽかと暖かくて良かったよ 」
私達は、お墓参りの為に村長こと仁のお祖母さんの家に向かっている。
春分の日、お彼岸でもある今日は仁の両親のお墓参りの為に皆で出かけているんだが………
只、去年の秋のお彼岸より二名増えているのが問題だ。
「仁ちゃんのご両親には、アタシも世話に成ったからね
お墓参りくらいは したいと思っていたんだよ 」
「私もジンの婚約者で~す ! なので一緒にお墓参りするで~す」
「 候補が抜けている !まだ決まった訳では無いんだから勝手に婚約者と言わないで欲しいな !
今の処、私と勇気と楓が正式な婚約者なんだからな 」
真理姉が来て婚約者に立候補宣言したせいか自分が焦っているのはわかっているんだが………
政府の閣議決定で夫は『 三人 』奥さんを
しかし今、その三人の枠を増やそうと云う動きを野党が進めているらしいのだが、実際どうなるかは分かったモノでは無い。
入れ替え戦は無いよな ?
アリスは、私と同じ料理は苦手そうなので脅威では無いけど
真理姉は、完璧超人みたいな上に幼馴染みなんて属性まで持っているから恐い存在なんだ。
うぅぅ こんな事なら もっと料理の勉強をしとくんだった。
そうこう考えているウチに村長の家に着いた。
「 いらっしゃい、仁。
お墓参りの前に墓石や回りの掃除をしてくれるかい。
最近は忙しかったから綺麗にしてあげられなかったからね。
それと、一人か二人はコチラに残って料理を手伝って欲しいから誰が残るか決めてくれるかい 」
村長の申し出に私は直ぐに立候補した。
「私が残って料理を手伝います、村長………イエ お婆様 ! 」
そうだ、仁と結婚して奥さんに成ったら村長が私のお婆様に成るんだ。
今のウチからアピールした方が良いはずだ。
それに、お婆様から直接 料理を教わる方が近道のような気がする。
私の意見は通り仁たちの班は掃除道具を持って出かけた。
コチラに残ったのは、私とアリスなのだが………
「 抜け駆けはさせませ~ん !
ヒトミの作戦は、マルっとズバッとお見通しで~す ! 」
アリスに私の作戦がバレていたのは
これで アリスが私と同じ料理が苦手だと云う事が確定した。
「 私は『サンドイッチ』なら大得意で~す !
兄さんにも家族にも褒められたで~すね 」
「いやいや日本人なら、やっぱり『おにぎり』が一番だろう
『おにぎり』なら私は誰にも負けない自信があるぞ ! 」
「「 ぐぬぬぬぬぬぬぬぬね 」」
【
やれやれ、仁は愛されているわね。
本当は、瞳より真理亜愛と云う娘を見極めたかったんだけどねぇ
瞳が料理にここまでコンプレックスを持っていたとは思わなかったわ。
料理は、ほとんど出来上がっているから追加で『 レンコンのきんぴら』でも作ろうかねぇ。
そうして臨時の料理教室と成ったのだけど…………
想像以上に不器用な二人に大変な苦労をしてしまう村長だった。
【 勇気side 】
お墓回りの掃除が終わった頃、ジンの携帯電話に村長から『料理が出来たからコチラに向かう』と云う連絡が入った。
「 どうしたんだろう ? お婆ちゃんの声が凄く疲れていたように聞こえたんだけど 心配だなぁ~ 」
「 一応、瞳とアリスが居るんだし大丈夫だと思うよ
それより 皆 掃除でうっすら汗をかいたみたいだから汗を拭いて水分補給しようよ 」
僕は 皆に促して一緒に自動販売機に向かったんだけど、村長が疲れている原因って瞳とアリスに料理を教えていたからだよね。
僕達が水分補給をしていると村長と瞳やアリスがやって来たので一緒にお墓参りをした。
村長の様子を チラリと見たけど少しヤツレテ見えたのは 気のせいでは無いよね。
瞳やアリスは、やりきった感があるのが尚更 村長の苦労が押し計らえたように見えた。
お墓参りが終わり、村長の家で簡単なお食事会をしたけど
瞳とアリスが、いかに自分が料理で活躍したかの自慢話を聞いて 改めて村長の苦労が忍ばれたのが判る一日になった。
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