第184話 卒業式 After...


【 深雪side 】


やったわ ! ついに ついに 私にも彼氏が出来たわ !

信太郎の『第二ボタン』をゲットした上に恋人同士に成れるなんて、神様は居るのね !



……………聖子達から『本当の事』を聞かされるまでの短い『春』だった事に、この時は気がつかなかった。


それは、博子も同じで


「 私も薫くんとお付き合いする事に成ったわ !

春休みに成ったら、ダブルデートをしましょうねぇー 」

なんて、約束したのに…………



─── ─── ─── ─── ───



【 聖子side 】


最初、話した時は信じなかった二人も鎌倉くん や 江ノ島くん から直接聞いて、やっと信じてくれたんだけど…………



ツンツン ツンツン ツンツン ツンツン


秋奈

「 反応が無い。 しかばねのようだ 」


今日子

「 ちょっとぉ~ 止めなよ、秋奈ぁ~ !

いくらなんでも二人が可哀想だよ 」


落ち込んでいる二人にちょっかいをかけている親友秋奈がいた。



しょうがないなぁ~ !


聖子

「 二人共 ! いつまで落ち込んでいるのよ

これは、ある意味 チャンスなのよ !

偽装だろうが人前では『 恋人同士』を演じるんだから、本当に仲良くなって『真の恋人同士』になれば良いだけじゃないの !

それとも鎌倉くん達を振り向かせる自信は無い訳なの ! 」



これだけお膳立てをして駄目ならあきらめて貰うしか無いわね。


発破が足り無いかな ?


仕方ないわね。 口止めされていたけど………

政雄から聞いていた話を二人に聞かせてあげる事にした。


聖子

「 良いの、博子 ! そんな危ない奴らに鎌倉くんを取られても !

鎌倉くんを救う事が出来るのは、貴女博子しかいないのよ !」


そうして博子がやる気に成った処で、


聖子

「 良いの、深雪 ! このままいくと、貴女深雪が由利子先生の後を継いで『男日照り』だの『 オールド・ミス』だの『お局様』だの『いかず後家』なんて言われて馬鹿にされたい訳なの ! 」


ここまで言って駄目なら知らないわ。


深雪

「 それだけは嫌よ ! 由利子先生みたいに恥ずかしい姿なんて想像もしたくないわ !

私、頑張って江ノ島くんを振り向かせるわ 」


うん うん 二人共、やる気に成って良かったわ。

私、なんて友達思いなのかしら………


そう、思っていた私の肩を誰かが『トン トン 』と叩いている。


聖子

「 ちょっとぉ~ ! 秋奈も悪ふざけばかりしていると由利子先生に見付かって怒ら……………由利子先生、どうしてココに ? 」


振り返ると、ニッコリ笑っている由利子先生が居た。



由利子

「 どうしてと言われてもなぁ~

ココは学校だし、でかい声で騒ぐ生徒が居るようだから様子を見に来たら、お前達が『 青春』をしているじゃないか !

しっかり見学させて貰ったぞ…………



ガシッ ガシッ


私と深雪の頭に由利子先生の手が置かれて…………


メキッ メキッ メキッ メキッ メキッ メキッ メキッ


「「 痛い 痛い イタイよ 、由利子先生 ! 」」


聖子

「 指が頭にめり込んで割れるみたいに痛いよ ! 」


深雪

「 なんで、そんなに怒っているんですかって 、痛いんですけど ! 」



由利子

「 お前達が、どういう目で私を見ていたのか

よぉ~~~く、解ったよ !

悪かったなぁー !『男日照り』で『オールド・ミス』に『お局様』と『いかず後家』だったかぁ~

深雪の方も『恥ずかしくて』悪かったなぁー !

お前達の気持ちは、よぉ~~~く理解したから、これからじっくり話会おうじゃないかぁー 」


私と深雪が由利子先生に連行されそうに成っているのに………


「「「「 おたっしゃでぇーお達者でぇー 」」」」

と、見送る秋奈達が居た。


卒業式だと云うのに最後の最後に酷い目に会ってしまったわ。

私、良い事したのに………不幸だわ !


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