第183話 卒業式


【勇気side 】


とうとう、今日は卒業式


思えば、去年は自分が婚約者持ちになるなんて想像していなかったなぁ~


皆で中等部の校舎に通うのも今日が最後だと思うと感慨無量になるよね。

高等部の校舎は中等部の後ろにある丘の上にあるから、これからは、今までより早く家を出ないと遅刻してしまうんだよね。


真理姉に聞いた話だと、今までより十分は多くみた方が良いらしいしね。

地味に校舎に行く為の坂が大変らしいけど………


そんな事を考えているウチに登校する時間に成ってしまった。

このセーラー服を着るのも最後かと思うといろいろな思い出が頭に浮かんでくる………



「 勇気 ! そろそろ家を出ないと遅刻しちゃうぞ !」

瞳に声をかけられて『ハッ』とした。


卒業式に遅刻したら、ずっと皆に笑い話の『ネタ』にされてしまうよね。

僕は、近くに居た『タビ』に挨拶してから家を出た。



「 いってきます ! 」


「 フニャァー ! 」


タビが返事をしたのを聞いてから中学生最後の日を楽しもうと思うことにした。




【 博子side 】


今日は卒業式


私と深雪は皆より早くから学校に来ている。


なんといっても卒業式の目的は、江ノ島 薫くん の学生服の『第二ボタン』をゲットする為だ。


深雪は、もちろん 鎌倉 信太郎くん の『第二ボタン』を狙っている。


薫くん達は、石岡聖子の彼氏くん達がガードしてくれる事に成っているから、他のボッチ女子生徒にフライングされる心配はしなくても良いらしいし、高等部の女子生徒も校門で『仁王立ち』している由利子先生を出し抜く事は無理だしね。


今日が最大のチャンスだからこそ、私達博子と深雪は 気合いを入れている。


高等部に入ってからでは遅いのだ !

上級生に外部入学者とライバルが一気に増えてしまう。



私達は、いまか いまか と薫くん達が登校して来るのを待ち構えていた。




【信太郎side 】


信太郎

「 ええーっ ! 僕の『第二ボタン』を玉造たまつくり 深雪さんに渡すの ? 」



政雄

「 そうだ ! 聖子達とも相談したが、玉造に『第二ボタン』を渡して『偽装恋人』になるしか信太郎の安全を保証出来ない

これから平穏無事な生活をする為に我慢も大事だぞ 」



「 そうすると僕は、牛堀うしぼり 博子さんに『第二ボタン』を渡して『偽装恋人』に成れば良い訳だね 」


政雄

「 話が早くて助かる ! なにも本当に『恋人になれ !』と、言っている訳じゃないんだ。

フリだけで、お前達に平穏無事が保証?されるのだから悪い話ではないだろう ! 」


薫くんと話合った結果、政雄くんの提案にのることにした。

大丈夫だよね、薫くん。


平穏を得る為とは云え、皆をだますようで………

でも、アノ六人が来た事を考えるとこれしか方法がないような気がした。



【 聖子side 】



政雄から連絡がきた。


ミッションクリア だね !


チャンスは造ったわよ !


後は、あんた達 次第なんだから 頑張りなさいよ 博子、深雪 !

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