第171話 とある冬の一日 ①


真理愛まりあside】


───菖蒲あやめ学園 高等部 1年B組───


「 やあ やあ 美夏みなつちゃん、

情報提供ありがとネ ! おかげで、仁ちゃんとのコンタクトに成功したよ ! 」


「 ふっ、 我が菖蒲学園情報部にかかれば雑作ぞうさもないことです。」


「 それよりわかっているんでしょうねぇ~

報酬の『 不九家の限定岩シュウ 』の詰め合わせセット

忘れては、困るわよ ! 」


「 わかっている わかっているよ、由麻ゆまちゃん

アタシは、約束を守る良い娘ちゃんだからね。

既に、予約済みだよ。 だから安心してね 」


「 それなら良いのです。

妹の美冬みふゆも喜ぶでしょう 」


あの夜叉ヤシャのように悪女顔の美夏ちゃんも

妹の美冬ちゃんの話になると優しい顔になるんだねぇ~。


アタシがニマニマしながら美夏ちゃんを見ていると


「 ゴホン ゴホン 仕方ないだろう、年の離れた妹は可愛いものなのだからな 」


「 へぇ~ 美冬ちゃんは、何年生なのかな ?

きっと可愛い盛りなんだろうネェ~ 」


「 ウチの学園の小等部の二年生だ。

いいか、妹に手を出したら許さんからな ! 」


「 ニャハハハハハ、 アタシには、仁ちゃんがいるから美冬ちゃんには 興味が無いから安心してちょうだいな」


「その言葉、一応 信じてやる ! 行くぞ、由麻。

我々は忙しいから、これで失礼する 」


そう言って、美夏ちゃんは去って行った。

いやぁ~ 流石、 学園の裏を仕切っている『 竜神峡りゅうじんきょう 四姉妹 』の三女だけあってカリスマが凄いねぇ~。



───────放課後 ──────


【 忠夫side 】


今日、蛍が仲の良い友達を連れて来ることになっているのだが …………


「 もし、蛍が男の子を連れて来たらどうしよう~ お絹ちゃん

まだ、男女交際は早いよね。 蛍は可愛いから絶対にモテると思うだ ! だけど、反対して蛍に嫌われるのもいやだし、お絹ちゃん 令子さん 上手く蛍に説明してくれるかなぁ~」


「 はい はい 大丈夫ですよ、忠夫さん。

蛍ちゃんが、大好きなお兄ちゃんの事を嫌うなんてありませんから ! 」


令子

「 自分は、アレだけ女の子好きの癖に………本当に妹には弱いわね 」


明日香

「………シスコン ……………デモ チョッピリ ウラヤマシイカモ 」



そんな事を やり取りしていると……


ピンポーン ガチャリ


「 ただいまぁ~ 」


「「 おじゃましまぁ~す 」」


蛍が帰ってきたようだ。


「 お兄ちゃん、ただいまぁ~。 お姉ちゃんたちも、ただいまぁ~。 友達を連れて来たよ ! 」


蛍に続いて入って来たのは、二人共 女の子だった。


「 良かったよ、蛍が連れて来たのが女の子だけで………

もし、男の子を連れて来ていたら、兄ちゃんは 兄ちゃんは……」


明日香

「 うわっ、キモッ ! シスコンもここまで極まっていると感心するわね 」


「 はい はい オヤツとジュースがあるから、蛍ちゃんもお友達も『 手 』を洗ってきてね 」


「「「 は~い 」」」


三人共、手を洗いに洗面所に向かった。


忠夫

「 なぁ、 アノ内の一人 誰かに似ている気がするんだが、誰だろう ? 」


令子

「 アンタ、まさか 小学生にまで……………」


「 ……………忠夫さん、後で お話があります 」


明日香

「 アンタ、本当に見境 みさかいがないわねぇ~ !」


忠夫

「 誤解だ ! いや、本当に誰かに似ている気がしただけなんだよ 」


三人の女の子達の目が痛い !……………理不尽りふじんすぎるぞ !


忠夫

「 そんなに、俺が悪いのか ! 」


「「「 アンタ(忠夫さん)が、悪い ! 」」」


蛍達が、手洗いから戻って来るまで 針のむしろ状態だった。

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