第170話 バレンタインデー ②


【博子side 】


恋我麗壮こわれそう


この古いアパートに薫くん と 信之助くんが同棲………同居しているらしい。


どうして、親元おやもとから離れて中学生だけで住んでいるかわからないけど、今は そんな事はどうでもいいわ。


私と深雪は『トースト』を持って二人が出てくるのを待っている。

お父さんのコレクションにあった漫画をヒントにした


『 トーストを咥えた美少女が、主人公に街角で衝突しょうとつして仲良く成るわよ大作戦 』


深雪と一緒に考えた、この完璧な作戦を実行しようとしているのに……………なんで二人共、出て来ないの ?


深雪がスマホの時間を見ながら、


「 おかしいわね ? もう、登校時間は とっくに過ぎているのに、二人共 寝坊しているのかしら ? 」


博子

「 それなら、私達が 薫クンと信之助クンを起こしてあげないといけないわ 」


深雪

「 二人共 熟睡じゅくすいしてたら、どうするのよ !

きっと、慣れない土地で疲れたんだわ………起こすのは可哀想よ」


博子

「 …………私達が優しく起こしてあげるのは どうかなぁ~

眠れる王子様をヒロインの愛のキスで目を覚ましてあげるのよ ! 」


深雪

「 キャァ~ !良いわ 良いわ それ、凄く良いわ ! 」


博子

「 さっそく、レッツら ゴー よ ! 」


その時、何処からか音楽が聞こえてきた 。


♬♫♪♩♬♫♪♩♬♪♫♩♬♪♫♩♬♫♪♩♫♪♩♬♫♪♩♪♫♬♩♪♬♩♬♫♬♪♩♬♫♪♩♬


「 待ていっー ! 」


「 眠れる幼気いたいけな美少年を襲う

人、それを『 痴女ちじょ』と云う 」


博子

「 だっ 誰よ ! 何処にいるのよ ? 」


深雪

「 卑怯よ ! 出て来て、名を名乗りなさい ! 」




【 聖子side】



???

「闇ある所、光あり………悪ある所、正義あり」


???

菖蒲あやめ学園からの使者……」



神栖かみす今日子」


大洗おおあらい伊予」


鉾田ほこた聖子」


麻生あそう秋奈」


由比ヶ浜ゆいがはましずく……………なんで、私まで、こんな事をやっているのよ ? 」



「「「「「 五人 そろって『 聖闘乙女・ファイブ 」」」」」



………伊予に言われた通りに役ったけど、恥ずかしすぎるわ !

来る途中で捕まった、由比ヶ浜さんには悪い事したなぁ~

でも、なんだかんだ言いながらも ノリノリで付き合ってくれるんだから、いい子よね。

隣のクラスだけど、私達のグループに入れちゃおうかしら。



博子

「 なんで、貴女達が邪魔をするのよ ! 」


深雪

「 そうよ ! 人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られるわよ

貴女達は、さっさと学園に行けば良いでしょう ! 」


秋奈

「 へっ、なんで ? 今日は、学園は『臨時休校』だよ 」


今日子

「 制服を着ているから、メールを見ずに出て来たんでしょう」


【深雪side 】


確かに、確認しなかった私達が悪いけど、ここで認める訳にはいかないわ !


深雪

「 私達の『 恋 』は純粋よ、誰にも止められはしないわ !」


博子

「 そうよ、 相手パートナーがいる貴女達に私達の行動を止める権利は無いはずよ ! 」


秋奈

「 ふっ、 認めたくないものだな、自分自身の若さ故の過ちというものを ! 」


ムッカァー ! 何か妙にムカつくわ !


今日子

「 まあ まあ 貴女達を心配したからこそ止めたのよ

このままいけば貴女達は『 ストーカー』に認定される前に

『 痴女 』として、捕まるわよ」


グッ、 確かに少しだけやり過ぎたかも知れないけど………

信之助クン、必ず私が迎えに行くから少しだけ待っていてね。

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