第147話 新学期(三学期) ⑤


【 忠夫side 】


三連休も最終日に成ってしまった。

一昨日と雪の日に外に長く居た為か、ほたるが風邪を引いてしまった。

いくら俺が『女の子大好き』でも、風邪を引いて寝込んでいる妹を置いて

ナンパには行ける訳がない。


「 お兄ちゃん、ほたるね さみしいから手をにぎっていて欲しいな」


忠夫

「 ああ、 兄ちゃんが蛍の手を握っているから 安心して寝るんだぞ 」


「 うん、お兄ちゃん………何処どこにも行かないでね」


俺が蛍の手を握りながら、空いた手で蛍の頭を撫でているうちに安心して眠ったようだった。


静かにドアが開き、お絹ちゃん と 令子さんがのぞいてきた。


「………蛍ちゃん、眠ったようですね。

私達が交代しますから、忠夫さんも仮眠をとってください(小声)」


令子

「 台所に アンタの『お昼ごはん』も出来ているから、きちんと食べて寝るのよ。 アンタが倒れたら、蛍ちゃんが悲しむんだから私達に任せて休みなさいよ(小声)」


忠夫

「 ありがとう。 お絹ちゃん、令子さん

めしを食べたら直ぐ戻って来るから、それまで 蛍の事を頼むな 」


蛍の事を 二人に任せて、俺は飯を食べに台所に向かった。



【 令子side 】


まったく、アイツは もっと私達を頼りなさいよね !

私が、怒っていると………


「 令子さん、 怒らないでくださいね

ああいう忠夫さん だからこそ 私達は、彼を好きに成ったんだと思いますよ」


苦笑いしながら話す お絹ちゃんに


令子

「 わかっては、いるのよ。 わかっては………

只、アイツには もっと頼って欲しかったのよ 」


最近の男の子と違い、女の子大好きなアイツ 。


妹を大事にしているアイツ。


スケベだけど、決して女の子が本気で嫌がる事をしないアイツ。


気がついたら好きに成っていた。


只、アイツの良い所に気がついた女の子は多くて………


私が彼女に滑り込んだのは、お絹ちゃんの次だった。


だから、危なっかしいアイツを幸せにするのは私達だけで、誰にも渡したくない !



【 絹side 】



幼馴染みの彼、忠夫くんは 私の初恋の人だった。


いつも友達の中心にいる彼を見ているだけで幸せでした。


だけど、中学生に成って 彼を狙う女の子達を見て、私は焦ってしまいました。


他の女の子に取られたくなくて、告白したら彼は私を受け入れてくれました。


令子さんとは、タッチの差でしたね。


彼女はアグレッシブでキラキラして、とても魅力的な女の子です。


令子さんに負けないように私も彼を幸せにするのです。


そして令子さん と協力して、これ以上女の子を増やさないように彼を教育するのを決めました。



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