第44話 プールの帰り道

「今日は楽しかったね~!」

「そうですね〜。」

 あの後、特に何事もなく流れるプールで軽くみんなで泳いだり、広めのプールで水中バレー(あくまで遊び)をした。

「否定はしない。」

「またまた〜、素直じゃないな〜。」

「うざい。」

「ひどっ!」

「こっちは疲れてるんだから陽華の相手でもしてろ。」

「はーい。」

 ようやく開放された。

「明おつかれ。」

「お前もな。」

 俊佑が近寄ってきた。

「アイツらの体力どうなってんだよ。」

「さぁね。」

 陽華と美結は2人ではしゃぎあっている。疲れを知らないのかよ。

「今日は美結に付き合ってくれてありがとね。」

「それを言うのはこっちだ。美結が誘ってくれたから初めて4人で遊べたんだから。」

「そうだね。ところで、」

 俊佑は

「明さんってどういうこと?」

 爆弾を降下してきた。

「べ、別にどうでもいいだろ!」

「気になるなぁ。」

 にやにやしながら聞いてくる。普通のやつなら気色悪いがイケメンがあれば絵になるからずるい。イケメン許すまじ。

「特に何もねぇよ。」

「ほんとに?」

「ただ陽華とうちの親が顔を合わせただけだよ。」

「それは世間的には大事なのでは?」

 何言ってんだか。それくらい常識だろ...

「だよなぁ。」

「君たちっていろいろ飛躍しすぎだよね。」

「やっぱそう思うか?」

「うん。」

「まじかぁぁぁ!」

 思わず頭を抱えた。

「これは天然なのか日比野さんが策士なのかわからないね。」

「こいつ他人事のように...」

「だって他人事だしね。」

 ぐうの音も出ねぇ。

「でも困ったことがあったら言ってよ。相談に乗るから。」

「俊佑。」

 やっぱこいつなんだかんだ良い奴だよな。持つべきものは親友だぜ。

「おもしろそうだし。」

「おい!」

 前言撤回!こいつひでぇ!




「それじゃあ僕らはこっちだから。」

「あっきーもはるもまたね〜。」

「今日はありがとうございました。楽しかったです。」

「はるっていつの間に...まぁいいや。またな。」

 大通りで別れてそれぞれ歩いていく。陽華と2人っきりだ。

「今日は本当に楽しかった!」

「そうだろうな。いつもより活き活きしてたし。」

「そ、そうですか?恥ずかしい...」

 なんだか恥ずかしがっている陽華が愛おしく見える。

「可愛すぎるんだよ。」

「ふぇっ!?今なんて言いました?」

「やべっ、声に出てた。」

「今可愛いって言った?言ったよね?もう明さんったら私のこと好きすぎでしょ!」

 なんか既視感があると思ったらなんとなく美結の面影が見えた。イラってしたから仕返しでもしておくか。

「そうだな。恥ずかしがって顔を赤めらせてモジモジしている陽華が可愛くて、俺は陽華のことが好きすぎなんだよ。」

 言ってる途中ですっごい恥ずかしくなったけど何とか言いきった。さぁ、陽華の反応は?

「はじゅ...かわ...しゅ、しゅき...」

「....あちゃ〜、やりすぎちゃったか?」

 今の陽華は壊れた機械みたいになってカタコトの単語でしか話せなくなってるし。顔から湯気が出そうなくらい真っ赤になってる。

 やりすぎたと思ったけど、言ったことは事実だからしばらくそのまま放っておこう。

 数分後ようやく稼働し始めた。

「よう、無事か?」

「あ、あああああの!」

 最早単語すら話せなくなってしまったのか。

「わ、わわ私も、あ、明、さんのこと、す、す好きでしゅから!」

「ちょ、どこに行く!」

 噛みながらようやく言い終えたらいきなり走り出したので追いかける羽目になった。

 これから陽華をからかうのは程々にしておこう。

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