第41話 プール①

「今日は楽しみだね」

「そうだな。」

 俺たちの今日の予定はプールだ。夏休みの宿題が終わったから何の憂いもなく遊べるね。やったぜ。

「それにしても人が多いな。」

 市内有数のファミリープールとあって、家族連れやカップルが大勢いる。

「1番大きいプールはここなんだから仕方がないよ。」

 陽華はそう言うが俺は少し気が乗らなかった。なぜなら、

(陽華の水着姿をほかの男に見られたくねぇ!)

 陽華は学校でも噂(?)されるほどの抜群なプロポーションを持っている。当然、その水着姿もさぞ眼福になるだろう。だが、それが複数の何処の馬の骨とも知らない男の視界に入るのはいやなのだ。俺がしっかりナンパ避けしないとな。

「今日の水着、期待しててね♪」

 ......俺耐えれるかな?




 とりあえず中に入ってそれぞれ更衣室に入った。俺はすぐ着替え終わったが陽華は来ていない。女子は着替えに時間がかかるって言うしね。周りには連れの女性待ちと思しき男性が大勢いる。

 他の女性たちがちらほら出てくる中、俺の待ち人がやってきた。

「お待たせ!」

「...........」

 俺は言葉を失った。その姿はまるで女神が降臨したのかと思うほど輝いて見えた。

 陽華の水着は白を基調としたフリルのついた水着だ。派手ではないが決して地味でもなく、陽華の姿をひき立てていた。また、そのスラッとした健康的な美脚は惜しげもなくさらしていて、人目を引いていた。

 男性はだれしも陽華の姿を見ると必ず視線を固定し、女性も羨望の眼差しを向けていた。

 俺は自分のラッシュガードをそっと陽華に着せた。

「その水着はとてもよく似合ってるよ。いつまでも見惚れすくらいにな。だがここは人目が多すぎるから今日はこれでも羽織っていろ。」

 ちょっと子供っぽい独占欲だけどな。すると陽華はそれがわかったようで元気に「はい!」と頷いた。




 まず俺たちが向かったのは流れるプールだ。ここなら準備運動のように泳げるんだよな。

「冷たっ!」

 陽華がプールに足を入れたようで水の冷たさに声を上げていた。俺もプールに足を入れる。

「確かに冷たいな。」

 今の時期は気温が高いから水の実際の温度より体感温度の方が若干冷たく感じるんだ。

「行こう!」

「ああ!」

 俺たちは手を取り合いながら泳ぎ始めた。ここでも陽華は人目を引き、男たちの嫉妬の視線が突き刺さる。女性連れのやつは相手に耳引っ張られてるし。

「楽しいね♪」

 そんな言葉とともに見せる陽華の笑顔を見ているとそんなことはどうでもいいと思えてくる。今日は陽華とプールに来たんだ。精一杯楽しもう!

「まだまだこれからだそ!」

 俺はそう言って陽華の手を引っ張った。

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