第40話 歓迎

「2人とも〜!ご飯よ〜!」

「は〜い」

「わかりました」

 時計を見るとすでに6時になっていた。本を読み始めたのが3時くらいだったからいつの間にか3時間もずっと本読んでたのか。

「んぅ〜〜。集中して読めたよ。」

 横を見るとベットで本を読んでいた陽華が伸びをしていた。

「そりゃよかったな。」

 てか今気づいたけど、ずっとベットに寝転がってたんだよな。いい匂いがこっちまで漂ってくる。.....今日ちゃんと寝れるかな?




 下に行くとすでに料理が机いっぱいに並べられていた。お寿司に唐揚げにサラダなど。食文化が多様すぎる!

「今日はちょっと奮発しちゃった♪」

 母さん、これちょっとどころじゃないぞ。ほら、陽華だって目を見開いてるじゃん。

「こんなにいっぱいいいんですか!?」

 まさかの肯定的だった!?

「こんなに食えるのか?」

 すると陽華は少し赤面して、

「少しお腹すいてるんだからいいじゃん。それともたくさん食べる子は嫌い?」

「そんなわけないだろ。」

 どんなのでも陽華は陽華だから関係ないな。

「おあついところ悪いけど、そろそろ席に着いてね。」

 そんなこんなで席に着いた。意図的なのかは知らないが俺と陽華が隣同士だ。

「それでは明と陽華さんを祝して、乾杯!」

「「「乾杯!」」」

 ちなみに飲み物は両親がお酒、俺たちがジュースだ。

「いや〜、まさかほんと明に彼女ができるなんて思ってなかったわ〜。」

「ほんとにね。女っ気が全くないから将来が心配だったがこれで安泰だ。」

 両親が本人を前に恥ずかしいことを言ってる。マジやめて欲しい。

「そうなんですか?明さんほどいい男性はいないと思いますけど。」

「陽華まで何言い出すの!?」

 ここには俺の敵しかいないのか!?顔が熱い。

「最近、明なんかおかしかったのは彼女さんができたからなんだね〜。」

「そうなんですか?」

「あぁ。明が隠し事するときの癖がでてたからな。」

「そんな癖あるの!?」

 初耳なんだけど。

「それ後で教えてください。」

「真面目な顔して何言ってんだ!?」

 それでもこうして食べるご飯もなかなか楽しい。親が仕事で夜遅いから基本は1人で夜ご飯を食べるけど、やっぱりみんなで食べたほうがいい。

「明さん、笑ってますよ。」

 どうやらいつの間にか笑っていたらしい。

「そうか。まぁ、楽しいからな。」

「その笑顔、好きです。」

 そうして4人で仲良く夜ご飯を食べた。




「今日は夜遅くまで付き合わせて悪かったな。」

「気にしないで、私も楽しかったし。」

 今俺と陽華は暗くなったよ道を歩いている。結局陽華の歓迎会(?)を終える頃にはすっかり暗くなっていたのだ。親に送っていくよう言われたのと、元々俺も送るつもりだったのでこうして送っている。

「今日はありがとうございました♪」

「急にどうした?」

 陽華は小走りで俺の前を行くと振り向いて

「私!明さんのこと必ず幸せにします!」

 と叫んだ。もちろん近所迷惑にならない程度で。

 俺は恥ずかしかったので他のところを話題にあげた。

「その明さんっていうのはなんなんだ?」

 今日ずっと気になっていたことだ。

「さん付け嫌だった?」

「そうじゃないが、新鮮でむず痒い。」

 そう正直に言うと、

「いつまでも先輩後輩は嫌なんです。だからまずは名前から始めようかなって。」

「.....そうか。」

 そんなふうに考えてたんだな。

「俺はどんな形でも陽華のことを愛してるから安心しろよ。」

 陽華は顔を真っ赤にして

「......不意打ちはずるいです.......」

 と赤面していた。

「私も愛してるよ、明。」

 と耳に囁いた。

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