第32話 夏休み前
実に平和な1日。特にイベントもなく日々を過ごしてきた。そして、夏休みが目前まで迫っていた。
「夏休みどうすんだ?」
「美結とデートに行く以外は決めてないけど。」
「お前なぁ...」
まぁ、今に始まったことじゃないからなんとも言わんが。
「もしかして、明も一緒に遊びたいのか?」
「違う!」
「そうですか。で、お前は日比野さんと遊ぶのか?」
「なんも決めてないが。」
「は?」
俊佑のガチめの『は?』を聞いたの久しぶりだな。
「明、それ本気で言ってるのかい?」
「あぁ。」
「はぁ〜。」
「そんなにため息つくなよ。幸せが逃げるぞ。」
「誰のせいだと思ってるんだい。誰のせいだと。」
そんなに変なこと言ったか?
「そんなんだと日比野さんに愛想つかされないか?」
「そんな程度でか?」
「一つ一つはそこまでじゃないがそれが積み重なると取り返しがつかないよ。」
「お、おう。」
こんな俊介の顔は初めて見るな。
「でも、俺から誘うのってなんか気恥しいんだよ。」
「基本いつも一緒にいるだろ。会話から広げればいけるんじゃない?」
「それができれば苦労しねぇよ。」
「それじゃあ君は日比野さんの隣に他の男がいてもいいのかい?」
その状況を想像してみる。
陽華の隣に知らない男がいて陽華はそいつと楽しそうに話している。
「....なんか嫌だな。」
「そうならないように君から行動するんだよ。いつも彼女からなんて彼女にとっても辛いんだ。自分に興味がないと思われてないかとか心配になるんだよ。」
「やけに詳しいな。」
「体験談だからね。」
「そ、そうか。」
俊介と美結はいつも仲がいいと思っていたが、上手くいかなかった時もあるんだな。むしろ雨降って地固まるってやつかな。まぁとにかく、
「お前にそこまで言われたらやるしかないのかね。」
「応援してるよ。」
「てなわけで夏休み遊ばないか?」
「ほんとですか!!!」
「あ、あぁ。」
俺が遊びに誘うだけでこんなに喜ぶもんなんだな。これからは定期的に俺から誘うか。
「夏休みは毎日一緒にいましょう!」
「ちょっとまて。話が飛躍しすぎだ。」
「す、すいません。先輩から遊びに誘ってもらったことが嬉しくてついはしゃいじゃいました。」
「そうかよ。」
「それでどこ行く?」
「水族館に行ってみたいな。」
「先輩が行きたいとこを言うなんて珍しいね。」
失敬な。協調性があると言え。
「どうして水族館?」
「普通に海洋生物が好きなんだ。」
「独特ですね。」
「よく言われる。」
「なら他はどこ行く?プールや動物園、遊園地なんてどう!?」
「いいんじゃないか。時間はたっぷりあるし。」
「やたー♪」
今年の夏休みはいつもより充実して楽しそうだな。
「勉強もしないとですしね〜。」
「う、うぐッ。」
うちの学校は大型連休の後に実テを行う。そのため、勉強もしないといけない。
「先輩と家で勉強会。楽しそうですね〜。」
その笑顔を見るだけでやる気が起きる俺は現金だな。
「先輩のご両親にもご挨拶しないといけないし。」
....やっぱ夏休みやだわ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
100♡貰いました。嬉しいです。今後とも応援よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます