第22話 お勉強会①
その週の土曜日、俺は陽華の家に来ていた。
「お邪魔します。」
「先輩、緊張しすぎじゃない?リラックスしないと勉強集中できないよ?」
そんなこと言われても女子の家に来たのって小学生のとき美結の家に一回行った時以来だぞ。ましてや彼女だぞ!これで緊張するなって言う方が無理がある!
「ちなみに今は両親と姉は出かけてて誰もいないから安心してよ。」
「.....は?」
普通にスルーしかけたけどなんかやばいこと言ってなかった?誰もいない、つまり今美少女の彼女と二人きりということですよ。この状況やばくね?集中力が悪化しますよ。
すると陽華が急に
「先輩が勉強嫌いなのは達成感がないからだと思うんです!」
と言い出した。
「私の場合は先輩と釣り合うようにがんばっているんですが、」
「ちょっと待て!お前は十二分に釣り合ってるよ!ていうか俺の方がダメだと思うんだよなぁ。」
「それなら頑張ってください。」
ものすごい笑顔で言葉責めしてくる。
「それはさておき、この定期テストでいい結果が出せたらご褒美をあげましょう!」
「そう!ご褒美です!きっと先輩は勉強をやってもすぐに見返りがこないからあまり好きじゃないんですか?」
「よくお分かりで。」
「先輩の彼女ですから!」
なんかすごいドヤ顔。可愛い。
「ですからこの定期テストで50位以内に入れたら一日だけ私を好きにする権利をあげましょう!」
「何言っちゃってんだよ!」
「どうしたの?」
「どうしたってお前なぁ。女の子が自分の体を気安く使おうとすんなよ。悪いやつにでも引っかかったら大変だぞ。」
「先輩にしか言わないのでご安心を。てか私を心配してくれたんだぁ。嬉しいな♪」
「うっ。」
「まぁともかく目標は50位以内なので頑張ってくださいね。もし50位以内になれなかったら罰ゲームがあるから覚悟しててね♪」
うちの学校では進学校あるあるの上位の人の名前が張り出されるのだ。その上位というのが50位以内なのである。ちなみに前回の俺の順位は400位中187位だ。つまりこのお方は一気に150位以上あげろと言っているのだ。傍から見れば鬼畜だろう。だが俺は
「いいぜ。のった!」
普通であれば絶対にやらない賭けだろう。なぜなら勝算が全くないからだ。だが俺に限っては違う。だから決め台詞としてこう言っておく。
「覚悟するのはそっちだな!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます