第20話 日比野陽華と意外な人物

 今日は先輩との初休日デートだった。正直人生の中で一番緊張した。だって初恋の人とのデートだよ!緊張するに決まってるじゃん!そしてなにより、

「先輩は鋭いなぁ。」

 私は先輩に隠し事をしていたのだ。別に悪いことでもやましい事でもない。ただ、先輩には言えないだけ。それを上手に隠していたと思っていたんだけど、

「バレちゃっかぁ。」

 先輩は見抜いたのだ。私と過したたった数日の間で私が隠し事をしていることを。これについてはさすがの私を驚いた。何せ先輩への好意は本物だし、なにより自信があった。先輩は私を超えてきたのだ。やっぱり凄いなぁ。カッコよすぎるよ。そんなことを思っていると


 プルルルル


 電話が鳴った。こんな時間に誰だろうと名前を見た瞬間とても驚いた。あまりにも意外すぎる人だったからだ。


「もしもし。日比野陽華です。」

『もしもし〜。美結だよ〜。』

 電話してきたのは先輩の幼なじみである安田美結先輩だったのだ。

『今日のデートどうだったよ?』

「とても楽しかったです!」

『ならよかった!あっきーが何かやらんかったか?』

「何もなかったですよ?まぁあってもよかったんですが。」

『そ、そうなんか。』

「ただまぁ、ちょっとですね。」

 少し歯切れが悪くすると

『結局あっきーに何かされたんか!?』

「先輩は特に何もしてないんですけど。私が先輩に隠し事をしているということがバレたんです!」

『それは陽華ちゃんの方が悪いかな。』

「うっ。」

 事実だから何も言い返せない。

『ちなみにその隠し事ってあっきーを好きになった理由とか?』

「どうしてそれを!!!」

 驚きの一日だった今日の中で一番の驚きだった。誰にも言ったことないはずのことがバレるなんて!

『乙女の勘ってやつよ!どやっ!』

「凄いですねー。」

 鋭すぎて怖いなぁ。

『怖いなんて酷いなぁ。』

「心読まれてる!?」

『なはは〜。まぁ鋭いことに関しては否定しないかなぁ。事実だし。』

「自分で言うんですか。」

『うん!しゅんくんとあっきーにも言われてるしね!』

「そうですか。」

『それでそれで、ほんとのこと教えてよ〜。誰にも言わないからさ〜。』

「バレてるし今更隠しても仕方ないですしね。それでは話します。━━━━━━━━」





 全てを話し終わって電話を切ってベットに横たわった。

「まさか美結先輩に色々バレてるなんて思わなかったなぁ。」

 今日はほんとに充実した一日だった。先輩とのデートに、先輩に隠し事バレたり、美結先輩にはその先もバレたり大変だった。けど嫌でもなかった。なぜなら今までは考えられなかったことが起きているし、なにより最愛の人が隣にいるという事実が心を満たしていた。

「ずっとこのままがいいなぁ。」

 そう思ったまま私は眠りに落ちた。

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