第19話 デートを終えて

 程なくして今日のデートは終わった。多分今までで一番充実していただろう。

「楽しかったなぁ。」

 自然と笑みがこぼれる。誰かと遊んで楽しいと感じたのは俊祐と美結以外では初めてだった。心地よい疲労のまま眠りにつきたいのだがそうもいかない。なぜならあのとき陽華は『それだけじゃないよ。』

 と言っていた。つまり陽華は俺に何か隠し事をしているということだ。それが気になって仕方がない。ただ、俺への好意は確かだから悪いことではないと思うが...それでも気になることは気になるのだ。

 そのことについてずっと悩んでいると

「明〜、ご飯出来たわよ〜。」

 と母さんに言われたのでリビングに行く。どうやら今日はハンバーグのようだ。肉のいい匂いが漂ってきて美味そうだ。

「それじゃいただきましょうか。」

「「「いただきます!」」」

 早速ハンバーグを口の中に入れる。肉のジューシーな旨みとソースのコクが絶妙にマッチしていて美味しい。陽華とは違った味付けだ。

「ところで明。」

「うん?」

 ご飯を食べてると不意に父さんに声をかけられた。

「今日はどうだった?」

「楽しかったよ。」

「どこに行ったんだ?」

「ショッピングモールだよ。」

「誰といったんだ?」

「ゴホッゴホッ!!」

 思いっきりむせてしまった。

「急にどうしたの!?朝俊祐と美結の三人で遊びに行くって言ったじゃん!」

 こんなとこで陽華の存在がバレたらめんどくさい。とりあえずバレないようにしないと。

「いや何、少し気になってな。」

「父さん、忘れるにも程があるよ。」

 ホントなんだったんだ。

「ところでさ〜、彼女とかいないの?」

「またその話か。」

 母さんは事ある毎にこんなことを聞いてくる。本人曰く、「息子の恋事情を知るのは親の権利だ」とか。

「いるわけないでしょ。」

「ほんとに〜?」

 ジト目で睨んできた。今日は少ししぶといな。

「そんなに疑う?」

「だって明だって年頃の高校生でしょ。寧ろ女の子の気配が微塵もないのは気になるじゃない。」

「普通だと思うが。」

「そうかしら。でも、彼女ができた時は真っ先に教えてね。」

「お、おう。」

 何とか対応しきったぞ。冷や汗が止まんねぇ...そうして家族の団欒が過ぎていった。

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