第16話 休日デート②
服屋に入るとすでに夏用の服が置かれてあった。基本年中家にいるからこういうとこに来るのは新鮮で季節の移り変わりを感じる。
「では、ここで先輩の服を選びましょう!」
俺たちが来たのはメンズ服が売っているコーナーだった。今日の俺の服装と同じ色なのに別物に見える。これが陽キャの服というやつか...
「なぁ、さすがにここの服は俺に似合わないんじゃないか?」
「そんなことないよ!もともと素材がいいんだからもったいない!」
「お、おう...」
食いつきがよすぎて流石の俺でも少しだけ引いだぞ。でもそんなにいいかな?よく俊祐には言われるけど。
「なんで先輩は自分に自信がないの?」
「生まれつきだ。」
「自分の過小評価はよくないよ。」
「直さなきゃとは思ってるけど直らないんだよ。」
「なら私が自信が持てるようにお手伝いしましょう!」
「できますとも!なぜなら私は客観的に見て完璧らしいので!」
なぜだろう?妙に納得してしまった。でもここまでしてくれるって言うんだ。多分大丈夫だろう。
「じゃ、頼むよ。」
「おまかせあれ〜!あっ!これとかどうですか!?」
こいつちゃんと服も見てたんだな。俺、陽華のことだんだん尊敬してきたわ。
「ふふふ。これは先輩に似合いますね。」
ちょろすぎるのが玉に瑕だがな。俺が守ってやれば問題ない。
最初に陽華が持ってきたのは青系の落ち着いたものだ。これから全然ありだな。
「試着してくるよ。待っててくれ。」
「は〜い♪むふふ〜、楽しみ♪」
「そんな期待されても困るんだが...
試着も終えてカーテンを開ける。
「どうだ?似合う?」
「似合う!カッコイイ!好き!」
「はい、一回落ち着こうか。」
こいつ暴走癖あるよな。しっかり手網を握っとかんとな。
「やっぱ先輩は落ち着いた色の方がいいですね!」
今日派手な方来てこなくてよかったと心の底から思った。
「確かにこれは僕の好きな感じだよ。さすが陽華だ。」
「ふふん!なんのために先輩のこと見続けたと思ってるんですか!」
「そんなに見てたのかよ。」
「先輩は全くこっち見てくれなかったのにね〜。」
「俺だって見てたさ。よく君のことが話題になってたからね。」
「どんな話題!?」
「陽華は可愛いな〜とか、彼氏いるのかな〜?とかいろいろ。」
「その時の先輩の反応は!?」
「覚えてない。」
「そんなぁ〜。」
そんなにショックそうな顔をするでない。これは話題変えた方がいいな。
「次はお前の服を選ぶぞ。」
こうして来たけど場違い感がえげつない。なんかもう猫の群れにネズミが迷い込んだみたいだ。
「ねぇねぇ、先輩はどっちの服がいいですか?」
そして俺の目の前には二つの服を持つ陽華がいる。
「こっちが清楚系なワンピースで、こっちが少し露出が多い系だね。」
これはどっちを選べばいいんだ...正直どっちも似合うだろう。そもそも陽華程の美少女ならばどんな服を着ても似合ってしまう。チートの持ち主である。だがそれでもどちらかと言うと答えは決まっていた。
「ワンピースの方だな。」
「理由は?」
「...お前の肌をあまり他のやつに見られたくない。」
「それはつまり私に独占欲を発揮していると言うことですか?」
「そういうことです。」
どうしてなのかは知らないが無性に陽華の肌を他の男共に見せるのが嫌だった。
「へぇ〜そうなんだ〜。」
「何ニヤニヤしてんだよ。」
「べっつに〜♪」
なんなんだよ、ったく。でも嬉しそうならいいか。...俺って甘いかな?
「じゃ、買ってくるね〜♪」
うん、気にしないでおこう。
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