第14話 準備
朝5時に目が覚めた。外は薄暗くまだ眠気は残っている。二度寝しようかと思ったが今日は絶対に遅刻しては行けない日だと思い出し、体を起こす。
「ふぁ〜」
大きなあくびをして、目を擦る。カレンダーを見ると今日のところに◎が書いてある。何を隠そう今日、5月1日は陽華とのデートなのだ!楽しみすぎる!緊張しすぎて早く目が覚めちゃったけどな。アラームの一時間前に起きるとか初めてだよ。
階段を降りて下に行くと既に両親が起きていた。
「あら、今日は随分早いのね。どうしたの?」
「なんでもないよ。母さんたちの方が早いしね。」
「それは私たちには仕事があるからでしょ。明がこんなに早く起きるなんて今までなかったのにね。どこか遊びに行くの?」
「まぁそんな感じだ。」
誰ととは言ってないけどな。そもそも女っ気がない俺にいきなり彼女が出来たって言っても信じないだろうけどな。そんなことを母さんと話してると今まで黙っていた父さんが話してきた。
「あんまり遅くならないようにしろよ。今日は母さんも父さんも早めに帰ってくるからな。久しぶりに家族でご飯でも食べよう。」
「わかった。」
俺は頷いてから席に座る。すると食パン2枚が目の前に出された。母さんが用意してくれたのだ。
「で、遊びに行く相手は〜?」
「俊祐と美結の3人だよ。」
「相変わらず仲良いのね。」
「当たり前だろ。」
「他に友達はいないのか?」
「話すやつはいるけどわざわざ休日まで遊ぶやつはいないよ。」
「そうか。早くほかの友達も紹介してもらいたいな。」
「そうよね〜。明ったらいつも俊祐くんと美結ちゃんのことしか話ないのよね〜。」
「そのうちにね。」
そうして話していると両親が仕事に行く時間になった。
「じゃあそろそろ私たちは仕事に行ってくるからね。あんまり遅くならないようにね。」
「わかってる。」
「遊びに行くときは気をつけろよ。では、行ってくる。」
「行ってらっしゃい。」
両親を見送ったあと俺は洗面所に行って歯を磨いて寝癖をなおす。今日はオシャレしないといけないからな。そして難問に気付いた。
「服、どうしようかな。」
そう、服装をどうするのか迷っている。一応二択までは絞った。陽華の容姿に合わせるような派手な服装、もう一つは地味な俺らしい黒を基調とした服装。派手な方は正直背伸びしてるような感じがして恥ずかしいし、何より無理しすぎて陽華に「ダサい」と言われたら立ち直れる自信がない。好きではないにしろ自分を好いてくれる美少女にそんなこと言われたらショックだ。かといって黒の方は陽華に見合っているかと聞かれると会ってないだろう。どうするべきなのか。困ったときは俊介に相談だな!
「てな訳でどうしたらいいかな?」
「僕に聞くなよ。」
「俊祐様!お願いです!見捨てないでください!」
「...いやだって、どんな服でもよくない?」
「よくない!」
「陽華ちゃんは服が似合わないってだけで君のこと嫌いになるような子じゃないだろ。」
「そうだけど...」
「それにファッションセンスがないなら彼女に見繕ってもらったらいいじゃん。今日はショッピングモールに行くんだろ。」
「...なるほど。お前は天才だよ。」
「誰でも思いつくよ。」
「やっぱ困ったときは俊祐に相談だな。」
「明はが相談できる相手って僕ぐらいしかいないでしょ。」
「正論はときに人を酷く残酷なものなんだよ。」
「そう思うなら友達作る努力しようよ。」
「とにかく助かったぜ!ありがとな!」
「露骨な話題変換だな。まぁいいや。困ったときはいつでも相談しろよ。」
「あぁ!」
こうして難問は解決した。いざ、出陣!
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