第13話 約束

「先輩、明日デートしましょう!」

「陽華、一旦落ち着こうか。」

 いきなり大声で何を言い出すのか、この子は?ほら、周りの視線が痛い痛い。

「でも、急だな。明日なんて。」

「先輩と恋人同士になった初の土日ですよ!これはどこかに行くしかないでしょ!」

 テンション高くて最後素の口調になってるし。

「でもまぁ、先輩も予定とかあるかもし━━━━━━」

「いいぞ、行くか。」

「無理なら日曜日でもっっっていいんですか!!!!」

「近い近い。ステイ。」

「はい。」

 なんか犬みたいだな。しっぽがあったらブンブン振ってそう。

「しゅんくん聞きました?あのあっきーがデートですって。」

「そうだね。人は誰しも成長するんだね。感動するよ。」

「おいこら、そこ。聞こえてるぞ。あと俊祐それはどういう意味だ。」

「いやだって、明から一番遠い言葉って恋愛に関する言葉でしょ。そんな明からデートっいう言葉が聞けて嬉しいんだよ。」

「お前は俺のなんなんだよ...」

「んー?親友?」

「そこ疑問形のしたらダメだろ!」

「あはははー!あっきーったら必死だね〜。そんなにしゅんくんとしんゆうでいたいんだ。」

「...当たり前だろ。」

 くっ、恥ずかしすぎる。どんな拷問だよ。

「先輩!私を無視しないでください!」

「いやここでぶっ込んでくるメンタルすげーな!!」

「あっきーうるさい。」

「あっ、はい。すいません。」

 いつもうるさい美結にうるさいって言われたら終わりだぞ。

「陽華さんも少しは落ち着いてね。一応ここ公共の場だから。」

「はい。すいません。」

 どうやら陽華は俊祐に言われて落ち着いたようだ。

「それでデートってどこ行くんだ?」

「その話をしようと思ってたんです!どこか行きたいとこありますか?」

「正直、俺は行きたいとこないかな。」

「確かにあっきーっていつも部屋に引きこもってるよね。」

「しょーがねーだろ。趣味がゲームと読書なんだから。」

「じゃあウィンドウショッピングとかどうですか?」

「うぃんどうしょっぴんぐ?」

 聞き慣れない単語に首を傾げていると

「えっ。まさかあっきー、ウィンドウショッピング知らないの?」

「知らん。」

「明、流石に勉強しようか。」

「なんで俺責められてるの?」

「あんたがアホなこと言ってるからでしょ。」

 なんか呆れられた。そんなこと言われても知らんもんは知らん!

「ウィンドウショッピングとはデパートとかで見て回ることです。実際には買い物はしません。」

「なるほど。いいんじゃないか。」

「本当ですか!明日の朝駅前集合でいいですか?」

「おっけー。」

「約束ですよ♪」

 こうして俺の初休日デートが決まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る