第9話 不穏な朝

 陽華に告白された次の日。暖かい風が吹く中俺は登校していた。

「俺と陽華が付き合ってることが噂にならなきゃいいけど...」

 俺の一番の懸念材料はそこなのだ。陽華は校内一の美少女で有名人。そんな人と付き合っていることがバレたら多くのやつに刺されかねない。

「まぁ昨日の今日だし大丈夫だろ。」

 この考えは一瞬にして打ち砕かれたのであった。





「なんか視線が怖い。」

 学校に着くと様々な視線が突き刺さる。嫉妬、殺気、値踏みなどなど。まさかもうバレてるとか?いやそんなはずは...

 と自問自答していると

「おはよう、明。」

「おっはー、あっきー。朝から有名人だね!」

「よぉ、おはよ。有名人ってどういうことだ?」

「とぼけちゃって〜、このこの〜♪」

「実はお姫様と明が付き合っているって噂が流れてるんだ。」

 ...............は?

「えっちょま、は?なんで?」

「どうやらお姫様本人がそう言ったらしいよ。」

「まじかよ...」

 嘘だろ。どうして公表なんかするんだよ。こちとら居心地が悪すぎるんだが。

「で、結局どうなの?付き合ってるの?」

 そんなノリノリで聞いてくんなし。

「まぁ、お前らに隠しても仕方ないしな。そうだよ。俺と陽華は付き合ってる。」

「おぉー!まさかのいきなり名前呼び!」

「いやー、昨日の今日で明に彼女ができるなんて思わなかったよ。しかも相手は校内一の有名人のお姫様だし。」

「俺だって予想外だったよ。昨日の呼び出しで告白されるなんてね。」

「やっぱ告白だったんだ!私の予想は当たってたんだね!私探偵向いてるよ!」

そうですか。俺としてはハズレてほしかったよ。

「僕個人としては明は断りそうだったからOKしたことに驚いてるよ。目立つのあんま好きじゃないだろ?」

「遠回しで断ったつもりだったが伝わらなかったんだよ。」

「あははは。やっぱり嫌だったんだ。」

「なんで断ろうとしたのさ!あっきーが告白されるなんてこれから先多分ないのに!しかもとびきりの可愛い子からだよ!」

「お前それは酷いぞ。まぁ否定はしないが。」

 そんなことを話していると先生が教室に入ってきた。

 さて、今日はいつもより疲れそうだ。......帰りたいな。

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