第7話 『一日』の終わり

 ケーキを食べ終えていろいろ喋ってから俺たちはカフェを出た。美結以外の女子とどこか行くのは初めてだったから地味に緊張したな。

「美味しかったね♪」

「そうだな。」

「また来ようね♪」

「あぁ、そうだな。」

「やたー♪」

 テンション高いな。

「暗くなったし、家まで送ってくよ。」

「ありがとう!」

「遅くなっても大丈夫だったか?」

 時計を見ると六時をすぎていた。

「平気だよ。お母さんにも連絡したから。」

「ならいい。」

「先輩こそよかったの?」

「うちは両親が共働きだからいつも遅いんだ。」

「そうなんですね。」



 帰る途中、俺はずっと気になっていることを聞いた。

「なぁ、本当のお前はどっちなんだ?」

「どっちとは?」

「学校と今日の様子が全く違ったからな。」

 そう。陽華の様子が学校と今日とで全く違ったのだ。まるで別人みたいな感じだ。学校の時はお淑やかで上品があり美しいのだが、今日は喜怒哀楽がハッキリしていて年相応で可愛らしかった。

「あはははー。やっぱ違うよね。今日のが本当の私だよ。私も堅苦しいのは嫌いだし。」

「じゃあなんで学校ではあんな感じなんだ?」

「小学校の時人見知りだったんです。だから同級生にも敬語で話してたらいつの間にか私はというキャラが作られてて変えるに変えれなかったんだよね〜。」

「なるほど、そういう事か。」

 意図的に作られた仮面を被って生きてるのか。そういうことは本とかでしか聞いたことないが現実にもあるんだな。なんか胸糞悪いな。

「疲れないのか?」

「疲れるに決まってるでしょ。」

「そっか。でもまぁ、俺の前なら陽華も素の自分を出せるからいいんじゃないか?」

「そうだね。今までより楽かも。」

「なら俺でよければ存分に使ってくれ。」

「そうする!」

 陽華が笑顔になる。その笑顔が見れるのは俺だけだとしたらなんか嬉しい気がするな。だがそれと同時に陽華にはもっと過ごしやすくなって欲しいとも思う。

「私の家あそこだからもう大丈夫だよ。」

「そうか。」

「また明日ね!」

「おう、また明日。」

 そうして俺たちの初放課後デートは無事に終了した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る