25:『祝福』(アルバード)
オルゴールの呪いが、ライザから呪殺だと聞かされた俺は、さすがに驚いた。
ん?だけどシエラ嬢は死なずに、幼女になってるよな?あれっ??
「じゃ、なんでシエラ嬢小っちゃくなったんだ?」
「恐らくだけど、・・・お姫様魔力無しでしょ?」
「あぁそうだな。」
「多分、お姫様は『祝福』持ちだと思う。」
「あ・・・」
俺は思い出した。
ホント―に稀になんだが、この世界では神から『祝福』を与えられる者がいる。どれだけ稀かというと、100年に一人いたら居たらいいところのレベルだ。そして、『祝福』持ちは魔力なしの傾向がある。傾向があるというのは、中には魔力をあっても、『祝福』持ちがいたからだ。そういう事例もあることから、魔力がないから、必ず『祝福』持ちだとも限らない。だから一見して『祝福』持ちだとはわからないのだ。何せ魔力が関係ないので、判断材料がない。
そして、『祝福』の内容は個々に違う。例えば、呪文無しで空を飛べたり、人の心が読めたり動物と話せたりと、『祝福』の内容は多様にあるらしいのだが、何せその時代に一人いるかいないかのレベルなので、詳細にはいまだわからないことも多いのだそうだ。
「今の時点での憶測だけど、お姫様の『祝福』が、呪いを中和させてしまったから、幼女の姿になったんだと思うわよ。かといって『祝福』が何なのかは、今のところ、わからないけどね。」
ふと見ると、先ほど案内してくれた魔導士が明らかに震えている。あーうん、わかり易いな。
ドン!!
俺は案内してきた、魔導士の胸倉を掴み、そのまま壁に押し付けた。
「ひぃ!!」
「おい。」
「ひっ!」
やっぱりか。
明らかに怯えてるもんな。
「お前知ってたな。つーか、ここにいる連中、わかってて隠してただろ。」
俺は静かにそう言った。
「隠すと為にならないわよー。このお兄さん怒ったらこわいんだからー」
ライザはちゃかしてる・・・頼むから空気読んでくれ。
「どうなんだ?!」
俺は少し声を荒げた。
「貴方達が・・・貴方達が来るから、もう無理だって私達は言ったんです!S級冒険者が二人で、うち一人は黒の魔女様です!絶対に隠し果せるはずがないと!」
だから妙に余所余所しかったんだな。納得だわ。
「そうだな、呪い自体の解明はそんなに難しいものではなかった。なのに何故黙っていた?!」
「ちょっと!呪殺なんて禁呪なんだから、簡単じゃないわよ!私だからすぐわかっただけよ!」
・・・・・そうらしい。
「えーと、訂正だ。呪殺の禁呪だとわかっていたのに、なぜ、黙っていた?答えろ!」
魔法省の役員を黙らせるような奴だ、間違いなくバックには有力貴族がいるのだろう。
「の、呪いは魔法省でも解明はできていました。シエラ王女は呪殺をされそうになったことも。そして、それを中和したことも!」
「やはり、わかってて隠していたな?国絡みか?王族もそのことは把握しているのか?」
「と、とんでもございません!陛下達はご存知ないです!」
はい、有力貴族説確定しました~
「となると、バランドールの魔力至上の過激派の輩ね。・・・うーん、ここでは、そんな人いっぱいいるわよ。」
ライザのいう事はもっともで、
「だな。・・・少数派ではなく、多数派だもんな。」
とはいえ、当たりを付けれられない訳ではないけどなー。
俺は、魔導士の胸倉を掴んでいた手にさらに力を込めて締め上げた。
「ぐっうっ!!ぐるじ・・・い・・・」
「さて、じゃズバリ聞くけど、誰の指示なんだ?」
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