24:オルゴールの真実(アルバード)

 晩餐会の翌日、俺は早速例のシエラ嬢が幼女になった原因の呪いのオルゴールをライザと共に見に行くことにした。


 場所は王宮から少し離れた場所にある魔法省だ。


 「ふふっお姫様には不謹慎なんだけど、その呪いのオルゴール興味深いわぁ~」


 ライザはうっとりとした表情をしている。俺は見慣れてるし性格も知ってるけど、知らない奴がみたら、勘違いするだろうなー。


 「おいおい、悪い癖が出てるぞ。」


 「ふふ~わかってるでしょ?アルト?」


 「まぁな。だが、今回はまずは先に解呪を優先して頼む。あと、前に話した通りだ。」


 以前に俺が言った、有力貴族が絡んでいる、といったソレについてライザに暗に促した。


 「わかってるわ、アルト。」


 そう言いながら、ライザはウインクをした。 


 さすがライザ、長い付き合いがあるのは伊達じゃない。


 そうこうしている内に馬車は魔法省に着いたようだ。王宮とはまた趣が違う、重厚的な大きな施設だ。なんでも魔法の研究をするのに、戦闘用魔法だったり治癒魔法であったり、生活魔法と、いろいろな実験施設も兼ねているせいで、こういった作りになっているらしい。ごっもとな話しだな。


 そしてお目当てのオルゴールは魔法省の研究室にあるらしい。


 「こちらになります、付いてきてください・・・。」

 

 ・・・なんだろう?案内人の表情がやけに暗いな?

 俺達は魔法省直属の魔導士に、オルゴールが保管してある部屋に案内をされた。


 中に入ると、気のせいかすれ違う奴らは、どいつもこいつもやけに余所余所しい?

 まぁ俺達は確かに余所者なのは間違いないけどさ?どうもきょどってるみたいな感じがする。なぜだ?


 「こちらになります。」


 研究室に通された俺達は、机に置いてあるオルゴールをマジマジと見つめた。

 

 「へぇ~これがねぇ。」


 「じゃ、ちょっと見せてもらうわね。」


 そういうと、ライザは早速呪文を唱えた。


 《解析》


 俺は実はこういうのはさっぱりわからないからな。はっきり言って、ほぼライザ任せだ。


 「ふんふん♪」


 「なんか楽しそうだな。」


 「そりゃそーよ、だって若返る呪いよ?そんなの私も初めて扱う案件だもん、胸が高鳴るわ~♪」


 こういう魔法は俺にはさっぱりなのだが、ライザは魔法には貪欲で禁呪であろうと、関わったらとことん追及する癖がある。なので、冒険者ランクS級ではあるが、本当は籠って魔法の研究をするのが好きなライザは、戦うことはあまりしない。実際俺とパーティを組んで戦かったのも数えるほどで、どちらかというと、ダンジョンで見つけたアイテムの鑑定を依頼することの方が多かった。





 「ふ~ん?なるほどね~・・・」


 「何か、わかったのか?」


 「えぇ。」


 「マジか!」


 ライザ、仕事が早すぎだろう!びびったわ!数時間しか経ってないぞ!

 だが、ライザの表情がさっきの楽しそうな感じとは打って変って、真剣な表情になっていた。


 「これねぇ、若返らせる呪いなんかじゃなかったわよ。」


 「え?どういうことだよ?」


 「呪殺よ。」

  

 「なっ!!」


 「これで、殺そうとしてたのよ。お姫様を。」


 「・・・・」


 俺は絶句してしまった。


 そしてそれと同時に、ここバランドールの魔力至上ぶりが尋常ではないことに、今になってやっと理解したのだ。

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