第18話
あぁ,昼か.
何時まで休憩?
授業13:30から?
そっか分かった.
手元のタッチパネルを触る.
あ…
先程の変わった髪の人.
何?
ごめん聞こえないや.
一瞬で部屋に戻った.
名前…
教えてくれてたのかも.
いや,都合よく解釈し過ぎでしょ.
ま,いいか.
これから6年過ごすし.
午後,戻った時でいい.
ドアが近づくと開いて,通ると閉まる.
「ルカちゃん.
お昼食べよー.」
「は~い.
何時までですか?」
「13:30まで.」
一緒にパネルを覗く.
「すぐ届くのが良いですよね?」
「どれも,いつも直ぐ届くよね.」
「確かに.」
顔を見合わせて笑い合う.
「何食べたい?
僕なんでも食べられる気分.」
「同じですよ.」
くるんとした目で話すルカちゃんが可愛かった.
「朝,パン食べたでしょ.
イチゴジャムたっぷりの.」
「牛乳とですよね.」
うんうん.
「それ以外にしよう.」
「いつも,それ言いますね.
私,同じのでも大丈夫です.」
ルカちゃんが笑ってる.
せっかく食べるんだから,あれこれ様々楽しみたい.
「ジャンクいっとこ.」
んん?って顔でルカちゃんが僕とパネルを交互に見てる.
はぁ.なんだか,いちいち可愛い.
「ハンバーガー食べよ.
ポテトと,炭酸.
ちょっと僕,厚いの食べたい.
ルカちゃん,どれにする?」
パネルのハンバーガーの種類がえげつない.
あぁ,なんか夢中に押しちゃったけど,
先にルカちゃんに選ばせたらよかったのか.
やっちゃった.
ハンバーガーも色々な企業の商品が
一緒の画面で一覧になって選べる.
だいたい変わりないよ.
この界隈,なんやかんやで皆好きだもんね.
見慣れたマークが懐かしかった.
店に行って並んで注文した感じとか,
あのトレーを机に置いて椅子に座った感じとか,
一緒にいた人を思い出しては,
もう戻られない時を想った.
「さん…リョウさん,リョウさん?」
んあ…
「ごめん.何々?」
トリップしてた.
「たくさんあり過ぎて…」
だね.
「お肉挟んだのがいいか.
お肉も,牛がいいか,鶏がいいか.
お魚がいいか.魚介がいいか.
パンで挟むか,米で挟むか.
何が好き?」
しまった選択肢多かったかな…
「おっけ.まず,バンズはどうしよっか.
パンがいい?ご飯がいい?」
「同じパンにします.」
うんうん.
いいよ.
「次は,何挟んだのがいい?
中身.具材.
お肉かそれ以外で,まず決めよっか.」
めちゃくちゃ重要事項を決めるかのように真剣なので,
「気楽でいいよ.
お昼は,またやってくるんだからさ.
今日食べなくても,明日食べたらいいし.」
うんうん,そう.
「同じお肉にします.」
ほぉ.
「合わせなくても好きなの良いよ.」
「…はい.」
「あぁ,いや.ごめん.
まだ,合わせてるのか,好きなの頼んでるのか,
判断が付きにくい.」
そう,まだ判断材料が少なさ過ぎて読めてない.
「じゃあ,私はチキンにします!」
おぉ…気を遣った結果なのか,
これまた,よく分からない…
いいの?とかって聞き方も,よろしくないだろうし…
また,明日も頼めばいいかな.
連続ジャンクも良くないか…?
あはは.
押す?
目を見ると,
人差し指を出してる姿が目に映る.
押しますか?という表情.
「うん,押して?」
笑って伝えた.
この辺り.少し上で指をくるくるする.
パンバンズ,チキンでも14~15種類あるぞ,これ.
「好きなのいいよ.こういうの第一印象.
気になったのはチェックしておいて,
次頼んだらいいよ.」
指が少し迷って…むにってパネルを押してた.
「ポテトは?」
うお…ポテトよく見ると,種類が多いね.
皮つきとか,太いのとか.
「そんなに食べられないかもです.」
あぁ,そうなの?
そんな心配そうな顔しなくていいよ.
「じゃあ,シェアしよ.」
そうしよ,そうしよ.
カゴのポテトサイズを1つ上げた.
よしっ飲み物.
きたよ,これ.
ここまで.
「うし,飲み物いこ.何系がいい?
牛乳あるよ.」
笑って言う.駄洒落じゃないよ決して.
冷蔵庫にもある.ぶふ.
「牛乳は,いつでも飲めますからっ.」
おっツッコミ入ったね.
ちょっと笑った.
「果汁100%のが良いです…」
おっ,なんか切り返し新しい.
果物好きなのかな.
今度,フルーツ巡りしてみようか.
楽しみが増えた.
まじかー.なんか色々あるよ.
果汁100%って言ってもさ…
「たくさんあるよ…」
まじか…これ世界中の集まってるのでは…
「どれでもいいんですよ…」
うん…気持ちは分かるよ.
これだけあったらね.
「どうする?端からいっとく??」
「画面…全て果汁100%の表示にできますか?」
ん?
出来ると思うよ.
キーワードで検索掛けて,
全て表示できるように数字を上げて.
「これで,どう?」
「目をつぶって,選びます.」
おー新しい.
やってみて.
ん?だいぶ見てないか画面.
いや,いいけど.
ルカちゃんが目をつぶった.
画面を押した.
スターフルーツだった…
レアだね.
「う~違った.」
とぽっそりルカちゃんが言った…
選びたいの選んだら良くない?
「選びたかったのを選びなよ.」
言ってしまった.
凄い勢いで,こっち見たっ.
どんな思いの顔したら正解?これ.
「飲んでみます…」
そんな…重要事項じゃないって.
「だめだったら…牛乳飲んだらいいよ…」
何とも言えない表情で見つめられた…
僕がスターフルーツ飲んで,
ルカちゃんが炭酸飲んでも良いんだし.
とっきおり,炭酸飲めない人がいるけれど,
ルカちゃんはどうなんだろう.
うん.決まった.
「決定押す?」
ルカちゃんが首を振った.
んじゃ,僕が押すね.
確認画面.間違いないね?
ルカちゃんを見ると,深く頷く.
ルカちゃんから画面に目を落とす.
おし.送信!
あと,もう届くの待つだけー.
手を狭めて両手を握手のように,
ぽふっと組んだ.
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