第14話 五色同舟



「さて、此れより遠征へと向かうわけだが………。そうだな、お前様も来い。ついでだ♪ 確認はなしも済んだ事だしな」


「何を勝手に、俺は何も聞いていない!」

「そうよ先生! こんな変態と一緒にお出掛けだなんて絶対嫌よ、危険が危ないに決まってるんだから!!!」


「クフフ♪ まぁそう深く構えるな、ついでだついで。あぁ、ちなみに300Gまでだぞ?はな♪」



 俺の下着パンツが、バサリと盛大に日の目を見た後。不敵な紫髪の魔女は、相も変わらない微笑のまま、グイグイと俺を馬車へ押し込んだ。


 言うまでも無く、納得はしていない。

 されど、抵抗もしてはいない。


 木を探すならば森、魚を探すならば水辺。

 であるなら、聖女まじょを捜すならば聖女まじょの中。と、思い至るのは当然至極。

 胸にとりどりの輝石ちくびを持つこの色髪の人外しょうじょ達と共に在れば、辿り着けはせずともヤツの何かしらはこの手に掛かるやも知れないのだから………。



(ヒヒヒヒヒヒ♪ 楽しいデスね姫様♪ 楽しいデしょう?姫様♪ ほらどうしたんデスか? もっと私と一緒にこの絶望を楽みましょう?姫様♡ ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ♪)



「………クッ」

「ちょっとアンタ! こっち見ないでくれるかしら、イヤらしい」

「ちょっと、アリスちゃん!」

「アワワワワワ………」



 道中。

 気まずい雰囲気に満ち満ちる馬車の中には、手綱を引く紫髪の他に



「フン、生憎変態に名乗る名前なんて」

「アリスちゃん!!!」

「ヒャッ! え、えっと………し、仕方ないわね。フレアリス、フレアリス・フォン・フラムディアよ! フン」


 件の赤髪少女と、


「ア、アワワワワワ!」

「えっとこの娘は、リリア・ブルースノウと言います。見ての通り、極度の恥ずかしがり屋で………」


 その微少女の背後に隠れる、青髪の眼鏡少女。


「で、私はミーヤ。ミーヤ・ウラノメリスです」


 そして翡翠の髪色をした、それはそれは麗しい美少女が居る。






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