第5話 白き一灯


「ヌヌヌヌ、当たりどころが良かったデスってぇ〜〜〜〜〜!!! ちょっとアンタ!変態の癖に生意気よ!

 ………フンッ、良いわ♪ こうなったら今ここで、もっと痛〜い急所良いところを思い切りブッ飛ばしてヤルんだか、フピャ!」

「下がっていろリリア、このバカを連れて………」

「ハワワワワ!」

「フッ、手荒いな。一応はその赤髪娘の師、なのだろう?」



 熱り立つ赤髪の微少女は、紫髪の魔女の頸トンッ同士討ちにて青髪眼鏡少女の胸の中へポフリと沈む。



「クフフフフ♪ 及ばんさ、心配に。

 加減はしかと心得ている。それにこのバカは間違い無く纏うからな、足手に。

 もっとも、バカはバカでも可愛い私の教え子だ。質と獲られたなら、流石に私もこまねくからな、手を」


「フッ、戯言を………。俺とて小娘子どもを楯るまでに堕ちてはいない」


「クフフフフ♪ バカでは無いさ私もな、特に魔法騎士の学び舎に忍ぼうと愚策を企む不審な輩の言を真に受けるほどにはな!


『雷槍(ライトニング)!!!』」



 バチバチと魔女の杖先より迸る紫電の閃光まほう。超常なるその閃光は、咄嗟と荷車の荷台から飛び退いた俺を目掛けて追尾する。



(ブスブスブス………)


「フン、何の冗談だ?」

「冗談、とは?♪」

「何故俺を直接狙わない? 縄のみを焼き切るなど、よもや手心のつもりではあるまいな!」

「クフフ♪ いや他意は無い、ただ見たいだけさ存分に。

 魔女バケモノの巣窟などと恐れられるこの砦に、単身乗り込もうとするお前様がどれほどの者、かをな!!!」



 白煙を上げ、ブスブスと焦げ落ちた縄。

 紫電の直撃を受けた俺の手首に、傷は無い………。


『雷槍(ライトニング)!!!』


 再び放たれた閃光に対し、俺は荷車を踏み起こして盾とする。舐めるな魔女よ、様子見程度の魔法キセキなど、俺を貫くには能わない!!!



『浦島一灯流、刀術弐ノ型・白杉はくせん

「なっ、速い!」

「せ、先生ーーーーーー!!!!!」



 荷台より宙に跳ね上がった愛刀、白夜。

 抜き放ったその白き剣線かたばは、紫髪の杖を諸共と魔女の正中をしたからうえへと唐竹る………。



「………弱者だと、括った高がその様だ」



 浦島の一灯に、斬れぬモノ無し。





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