06 死因ガチャ結果

 婦警さんは残念ながら劣勢だ。

 やばい目をしたヤバおじさんのほうが力が強い。


 腰からベルトを外せるのかはわからないけど、紐がくっついたままでも拳銃を撃つくらいはやるだろう。


 占い師さんからもうすぐ転生することが予言されているあたしに、その弾はきっと当たる。

 即死して転生するにちがいない。


 そうして婦警さんは拳銃の管理責任をとることになる。

 正義感とか使命感とか以前に、守るべき市民をひとり死なせてしまったことを激しく悔やむだろう。


 やだな。

 それは、とても嫌だ。


『一般的にはトラックにはねられますね』

 占い師さんの言葉がまた蘇る。


 そう。

 転生モノのお約束は、暴走トラックにはねられるものと相場が決まっている。

 死んで転生したあとがメインなのだから、死因はパターン化してOKって風潮。


 たまーに、過労死とか刺殺とかもあるけれど、めずらしいと思う。

 いうなればレア死因。


 じゃあ銃殺は?

 この平和な日本で、拳銃なんてレアすぎる。

 ガチャだったらSSRといってもいいくらい。


 そうだよ。

 あの拳銃に撃たれて死ぬなんて、排出率1%の死因ガチャSSRを1回で当てるようなものなんだ。

 そんな鬼のような運を使ってあの婦警さんを苦しめるなんてまちがってる。


「よし、最低レア度のトラックを引こう」


 いや、ひかれるのはあたしのほうなんだけど。

 この死因ガチャは、9割くらいの確率でトラック事故が排出される。

 だったら先にそっちで死んでおけば――


「あの銃では誰も死なない結果になるかもしれない」


 あたしはちょうど走ってきた、大型トラックのまえに身を乗りだした。

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