03 トラックいすぎ問題

 しんみりしちゃった。

 涙は……まあ、あたし漫画とか読んでいてもすぐ泣けるし、まつ毛が濡れるくらいはフツー。

 つらいけどつらすぎるってほどじゃない。


 世界にはもっとつらいことがたくさんある。

 たぶん、きっと。


「さて、それじゃ思いきって転生しますか」


 なんて言いながら信号待ち。

 やっぱりどうしても走っているトラックを目で追ってしまう。


『一般的にはトラックにはねられますね』

 なんて占い師さんがいうから。


 あの宅配便のトラックかもしれない。

 ……ちがった。


 あの荷台が空っぽのやつもトラックだよね。

 あ、行っちゃった。


「うええ、もしかしてあのデカいやつ?」


 待って待って、あんなのに突撃されたらあたし跡形もなくなっちゃうよ。

 ていうか、あれもトラックの範疇でいいわけ?

 トレーラーとかいわない?


 運転手さんの表情が見えない。

 こっちちゃんと見えてるのかわからない。


 くるか?

 くる、のかな。


「……行っちゃった」


 ちがうじゃん。


 信号が青になる。

 けど、あたしのほかにも歩行者がいたから、あたしだけ渡らずに見送ることにした。


 あたしが死ぬのはもう仕方がないけど。

 巻き込まれるひとがいるのは、なんか嫌。

 おばあちゃんいたし。


「ていうか、ここトラック多すぎない?」


 国道ってやつらしい。

 転生とか関係なしに事故多そう。


 もし無事に帰れたら明日からは通学する道を変えようと思った。

 いやきっと死ぬんだけども。

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