第40話 エピローグ
ーーあれから一年の月日が経った。
満開の花びらが咲き誇っている。こんなにもきれいな花を父はもう見る事は出来ないのか、、。
今は亡き父に想いを馳せながら。
「ーーどーしたの?」
隣には今の彼女、幸美(ゆきみ)がこっちを見て笑っている。
「いや、何でもないーー父さんの事を思い出してね」
「どんなお父さんだったの?」
「とても優しくて、人のいいお父さんだったよ」
「そっか。私も会ってみたかったなーー」
幸美はうつむいた。
「母さんには会ってくれよ」
「今から行くじゃん?ダメって言われたりしないかなぁ?」
幸美は不安そうな声を出した。
彼女の肩に手を乗せて、抱き寄せた。
「ーー大丈夫」
桜の花びらが、彼女の目の前を流れていく。
これから俺が精一杯、守っていこうと思っている人ーーそんな人にやっと出会えたんだ。
母が待つ家に到着すると彼女は大きく深呼吸を三回繰り返して言った。
「行こう」
玄関のドアを開ける。
「ーー母さん、ただいま」
「おかえりなさい。秀二、前に話してた恋人って、この人なの?」
母は笑っている。少しだけ緊張感を漂わせた顔で母が言った。
「あまり長く秀二と一緒に居たわけじゃないけど、秀二は良い子よ。これからの秀二の事をお願いね」
母が頭を下げる。
「やめてくれよ。もう子供じゃないんだから」
幸美の顔をチラッと見て、俺は照れ臭くて鼻をかいて言う。
「これからは俺が彼女を守っていきたいと思ってる。仲良くしてくれよ」
「ーー山本幸美です。始めまして」
幸美が軽く頭を下げると、母が繰り返して言った。
「これからも秀二の事をよろしくね」
「こちらこそお願いします」
真相 みゆたろ @miyutaro
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