第32話 9-3
「先生が話しておきたい事があると言っていたので、電話しましたーー今先生、読んできますね」
彼女は看護婦なのか?看護師になるのか。
ーーこの際、今はどーでもいいか。
彼女は走り去っていく。
数十分、待合室で座って待っていると、先程の看護師さんが走ってきた。
息を切らしている。
呼吸を整えたあと、彼女は言った。
「すいません。お待たせしました。先生が待っていますのでこちらにどうぞ」
案内してくれる彼女に続く。
俺が通されたのは、カンファレンスルームだった。
これからの治療方針や、病名など。
そう言った説明をされる部屋だ。
扉を開けると、医師が座っていた。
「ーーお電話してすいません」
医師がそう言った。
「ーーそれでお話とは?」
「あなたのお母さん、原口恵さんの容態ですが、重要な事を見逃していまして」
医師はそこで、乾咳を一つした。
ーー見逃し?何だそれ?
俺はようやくの思いで、その思いを飲み込んだ。
「それであなたのお母さんですが、少し毛細血管がつまりかけているようですーー酷くなると倒れたりもする可能性もあります。なので気を付けてあげてください」
「はぁ」
ーー何をどう気を付ければいいのか?俺には分からない。
医者は言った。
「ーーまず、食生活に気を付けて下さい」と。
そんなに対した事ではないらしい。
「ーーはい。わかりました。ありがとうございます」
いろんな事が一気に起きているせいで、俺の頭はショート寸前の状態のようだ。
医師の言葉もほぼ理解が出来ないまま、俺はその部屋を出た。
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