第20話 7-1
彼の名前は藤田圭(けい)。
どうやら秀二と恵。その二人に話したい事があるのだと言う。
父の死から、立ち直れないまま二人は圭を迎え入れる。
彼にお茶を注ぎ、差し出すと恵も座った。
「それで話と言うのは?」
「こんな事、話すのもどうなのかと思って、随分迷ったんだけど、、」
「どーゆー話なんだ?」
「お前の、、父親の事なんだ」
「うん。父さんが死んでもー2ヶ月以上たっているけど、、未だに立ち直れないよ」
秀二はぼやいている。
「ーー覚悟して、聞いてほしいんだ」
深刻そうな藤田圭の顔を見れば、いい話ではないのは分かった。
大きく深呼吸を二度ほど繰り返してから、僕は言った。
「ーーそれで?」
恵は黙ったまま、真剣な顔をしている。
「うん。ーーすごく言いにくいんだけど」
「遠慮はいらない。話してくれ」
秀二が言った。
「健吾、殺されたんだろ?」
「警察は自殺だって言ってるよ。ーーでも、僕らは違うと思ってる」
「健吾は間違いなく殺されたんだーー俺、あの時、犯人を見たんだ」
「ーー犯人を?」
「あぁ」
「どんな人だった?」
「体格はがっしりとしてて、メガネ、、かけてたな。髪型が短髪で天然パーマだったな、、」
「ほんとか?」
「あぁ、名前はわからないけどーー」
「これを見てくれ!」
父が僕に残した四人の名前しか書かれていない紙を、圭に差し出す。
「何だこれ?」
圭は不思議そうな顔をしている。
「多分、この四人の中の誰かが父を殺したんだーー僕はそう思っている」
「ーーで、いたのか?俺が見たような人物は?」
「あぁ、山田太郎と言う男だ」
「念のため、圭にも会ってみて欲しいんだ」
「わかった」
「今電話するから、少し待っててくれ」
圭は頷いた。
その日の夜、秀二と圭は山田太郎に会うことになった。
あえて少し離れて別席に座った圭。秀二と太郎が話していると、秀二のケータイのラインが鳴り響く。
「あぁ、アイツだーー間違いない」
俺にそう教えてくれた。
「ところで、犯人を見たって言うその話、警察には??」
「聞きに来たら話そうと思ってたんだけど、、聞きに来ないから、まだ話してないよ」
「そっか。警察に話す前に僕に話してくれてありがとう」
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