第5話 第一走者 【FIRST RUNNER】
「あれは人じゃないか?」
『少なくとも魔物ではないな。魔物特有の魔力反応はない。』
人が走っている。
「すいませ〜ん!大丈夫ですか〜?」
「おぉ〜!?僕以外にも生き残りがいたとは〜!」
そんな言葉を掛けてボクに近づいて来たのはまさか男性ではなく女性だった。
いわゆるボクっ娘というものだろう。
「え?もしかしてヨシダ選手ですか?」
「僕のこと知っているのかい?」
「はい!オリンピックの陸上競技で金メダル獲得しましたよね!」
ヨシダ選手とは、
18歳にして、オリンピックの陸上競技で優勝経験があり、ボクは大ファンである。
「そうだよ!まさか僕のことを知っているとは…」
「とってもファンなんです!」
「ありがとう。」
『ゴホンッ。』
グレンが少し咳払いをした。
「あ〜。それでヨシダ選手はなんでこんなところで?」
「なんか変な化け物みたいなやつがたくさんいたんだけど、僕陸上しかできないから走って逃げて来たんだよね。いつのまにかいなくなってたけど。」
『こいつはやばいぞ、ルイ。』
『どうした?なにがやばいんだ?』
『こいつの特殊スキル【first runner】がやばいんだ。』
『ふぁーすとらんなー?なにそれ?』
『第一走者って意味だ。このスキルの特性は走るとステータスが約5倍に引き上がって自分よりレベルの低い魔物を寄らせなくなる。』
『ちなみにレベルはどんくらいだった?』
『レベルはお前の倍、50だ。』
『結構あるな…』
「どうしたんだい?ぼーっとして。」
「あっ、すみません考え事してました。」
「そうなのか。そういえば君の名前は?」
「スズキルイです。ルイと呼んでください。」
「わかったよ。ルイくん。」
※
『ルイ…何か高い魔力反応がする。気をつけろ。』
『わかった。どの方向だ?』
『それがわからない、隠蔽スキルを使っているから魔力しかわからない。』
「スズキルイさんとヨシダミチさんですね。」
「お前は神の使いか?」
「はい…」
神の使いを名乗ったのは猫型の生物、猫なのか?
「私は猫神様から派遣された、猫又1号、この度はスズキルイさんのチームを監視することになりました。」
「監視?なんだ?」
「これからちょうど24時間後にみなさんにはチーム戦のバトルロイヤルゲームをしてもらいます。」
「バトルロイヤルゲーム?」
「簡単に説明すると、死ねば即終了です。まぁもちろんの話なんですけどね。このゲームはチーム戦で、10000人で行われるゲームです。上位10名のみが勝つことができます。上位に入るには他のチームを殺すのもよし、仲間を裏切って自分だけ生き残るのもよしです。」
「ってことは最終的にはチーム内で争わなければならなくなってしまうこともあり得るってことか…」
「そうですね。まぁ、そんな感じですので、では私はもう行きますね。」
※
「ルイくん今のはなんだったんだい?」
「ミチさんにはこれからちょうど24時間後に起こるデスゲームで人を殺してもらいます。」
「なんでだい!?なんで僕が人を殺さなければ!」
「殺さなければ殺されるだけです。10000人の中でたった10人しか生き残れません。なので殺すことが1番の生き残る方法なんです。」
『よく言った、ルイ。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます