聖竜との闘い下
聖竜(ホーリードラゴン)は再び、口を大きく開けようとする。先ほどのように聖なる息吹(ホーリーブレス)を放つ、つもりだ。今度はティアに向けて聖なる息吹(ホーリーブレス)を放とうとしている。
「させるかっ!」
キィン!
来斗は剣で斬りかかった。しかし、聖竜(ホーリードラゴン)の皮膚は鋼鉄のように硬く、弾かれてしまった。だが、本来の目的は達成できたようだ。聖竜(ホーリードラゴン)は聖なる息吹(ホーリーブレス)を放つのを中断した。
「ライトさんっ!」
ティアは何かを伝えたかったようだ。
「……なんだ?」
「しばらく、時間を稼いでください!」
「? ……わ、わかった」
疑念を抱きつつも、来斗は聖竜(ホーリードラゴン)の対処に追われていた。それどころではなかったのである。例え、距離を詰めたところで、聖竜(ホーリードラゴン)の爪や牙の脅威は凄まじかった。
その上、剣を振るってみたところで、聖竜(ホーリードラゴン)の皮膚は鋼のように硬く、まるでダメージを与えられないのだ。
その間にティアは何をするつもりだというのか……。
ゾクッ、とするような、悪寒を来斗は背後から感じた。ちらりと振り返ると……そこにあったのは。
闇の力を漲らせたティアの姿であった。その力は悍ましく、天高くまで暗黒の力が高まっている事が視認できた。
「……な、なんだ、あの力は……」
その力は凄まじく、思わず、今、聖竜(ホーリードラゴン)と対峙しているという、危機的な状況すら忘れてしまいかねない程であった。
瞳を閉じていたティアが、瞳を開いた。その目は人間の目とは異なり、真っ赤でまるで鮮やかな、血のような色をしていた。彼女は今まで、闇の力を溜めていたのだ。
そして、ティアは十分な時間をかけて高まった闇の力を解き放つ。闇属性の魔法攻撃だ。
「もう十分ですっ! ライトさんっ! 離れてっ!」
ティアは叫んだ。
「わ、わかったっ!」
来斗は巻き添えを防ぐ為に、飛びのく。そしてティアは聖竜(ホーリードラゴン)に攻撃をする。
「闇の波動(ダークフレア)!」
放たれた闇の波動(ダークフレア)は、聖竜(ホーリードラゴン)に襲い掛かり、飲み込んでいった。
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
闇の波動(ダークフレア)に飲み込まれた聖竜(ホーリードラゴン)は断末魔のような悲鳴を上げた。
その攻撃のダメージは凄まじく、膨大にあった聖竜(ホーリードラゴン)のHPが一瞬で尽きてしまう程であった。
「やったっ! ナイスだっ! ティア!」
来斗は喜ぶ。
「ありがとう……ティア。君のおかげだ」
「いえっ! ライトさんのフォローがあってこそです!」
ティアは笑みを浮かべた。
来斗達は聖竜(ホーリードラゴン)を討伐した。聖竜(ホーリードラゴン)は倒されると、輝かしい光を放って、ある一つのアイテムをドロップする。そのアイテムとは剣(つるぎ)であった。一振りの剣(つるぎ)。
光り輝く黄金の剣。来斗がこの世界『ユグドラシル』で知りうる限りというただし書きは入るが。
聖属性最強の剣(つるぎ)。『聖剣エクスカリバー』がドロップされる。来斗はその聖剣エクスカリバーを拾い、早速装備する事にした。
聖竜を倒した上で膨大な経験値(EXP)を手に入れた。
「ステータスオープン」
装備を変更し、聖竜(ホーリードラゴン)から膨大な経験値(EXP)を手に入れた来斗はステータス画面を開き、ステータスを見やる。
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三雲来斗 16歳 男 レベル:50
天職:無名剣士【ノービス】
攻撃力:500
HP:600
防御力:350
素早さ:300
魔法力:300
魔法耐性:300
スキル:錬成 料理 鍛冶
装備属性剣(エレメントソード)攻撃力+50※四属性の属性効果が付与(エンチャント)されている。
→『聖剣エクスカリバー』攻撃力+100※聖属性の力を秘める、聖属性最強の剣(ただし、来斗の知っている範疇であるが……)
→『ミスリルプレート』防御力+50 魔法耐性+50
※現SP残500SP
保有アイテム 干し肉×3→干し肉×0※ここにくるまでに食べてなくなった
青色ポーション×5
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「……よし」
来斗はステータスを確認し、軽く拳を握りしめる。自分が強くなってきたのを実感できてきたからだ……。自分が強くなる度に、これから襲い掛かる最悪な運命に立ち向かう事ができる。そんな気がしていたのだ。
ただ、問題がひとつあった。来斗は愛用していた属性剣(エレメントソード)が心残りだった。
聖竜(ホーリードラゴン)からドロップされた『聖剣エクスカリバー』は聖属性最強の武器ではあるが、聖属性以外の効果は付与されていない。
その為、闇属性のモンスター以外にはあまり有効な武器たりえなかった。
このまま属性剣(エレメントソード)をお蔵入り、あるいは捨ててしまうのも勿体なかった。
その為、来斗はより有効な手段を考え付いたのである。それが新たなスキルの習得である。LVが上がった事で相当にSPも溜まっているのだ。多少使っても問題ないと来斗は考えた。
こうして来斗はSPを使用し、新たにスキルを習得する事にしたのである。
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