聖竜との闘い上
聖竜(ホーリードラゴン)は異常なまでの威圧感を放っていた。
だが、来斗は全く臆してはいなかった。一人では無理だったかもしれない。だが、今の来斗には吸血鬼(ヴァンパイア)であるティアがいた。
だから、来斗には自信があった。自分一人では無理だったとしても、彼女の力があればこの聖竜(ホーリードラゴン)を打倒しうると……。計算上、一人では無理でもティアの力があれば可能になると、来斗は考えたのである。
吸血鬼(ヴァンパイア)である彼女は生前(というか、吸血鬼になるより前と言うべきか……)、聖女だった頃に習得していた聖(光)魔法の他にも、吸血鬼化した事で得た闇属性の力があった。
彼女は恐らくは聖魔法の他にも、闇魔法を使えるはずだ。聖女だった彼女が吸血鬼化する事で、聖と闇という、矛盾した相反する属性を併せ持つという、極めて稀な存在に成りえたのだ。
グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
聖竜(ホーリードラゴン)は再度、けたたましい咆哮を放つ。
「行くぞ! ティア!」
「はいっ! ライトさんっ!」
二人は聖竜(ホーリードラゴン)に向かっていく。来斗の今の攻撃手段では、聖竜(ホーリードラゴン)に有効なダメージを与えられる事はできなかった。来斗の今回における主な役回りは囮だ。
本命はティアの闇属性攻撃だった。吸血鬼であるティアは闇属性の攻撃を使える……はずだ。
「ステータスオープン!」
来斗は聖竜(ホーリードラゴン)のステータスを確認する。
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モンスター名 聖竜(ホーリードラゴン) レベル:80
攻撃力:2000
HP:3000
防御力:2000
素早さ:1000
魔法力:2000
魔法耐性:2000
スキル:自動回復(大)魔力障壁
魔法スキル 聖魔法
技スキル 聖なる息吹(ホーリーブレス)
※ 弱点属性 闇
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思った通りの強敵だ。来斗の今のLVでは到底及ばない程だった。やはり、ティアの力を借りなければ到底太刀打ちできない程だ……。
ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
聖竜(ホーリードラゴン)が咆哮を放つ。そして、その巨大な口を広げた。
放たれたのは聖竜(ホーリードラゴン)の放つ、聖なる息吹(ホーリーブレス)だ。凄まじい光の息吹が、聖竜(ホーリードラゴン)から放たれ、来斗を襲った。
「危ない! ライトさんっ!」
生前(吸血鬼化前)聖女だったティアは、吸血鬼であるにも関わらず、かつて習得していた魔法を使用する事ができた。その魔法には支援魔法も含まれていた。
「聖なる光の壁(プロテクション)!」
来斗の目の前に、聖なる光の壁(プロテクション)が展開される。光の壁による、盾のようなものだ。神官など、支援職がよく使う、一種の防御魔法である。
その聖なる光の壁(プロテクション)により、聖竜(ホーリードラゴン)の聖なる息吹(ホーリーブレス)は防がれた。
「ありがとう! ティア!」
来斗はティアにそう、感謝する。それだけではない。ティアは数多の支援魔法を使う事ができるのだ。
攻撃力。防御力。素早さ。魔法耐性。ありとあらゆるステータスを底上げする事が、彼女にはできた。
「ステータスオールアップ!」
聖なる光が来斗の身体を包み込む。来斗は全身から活力が漲ってくるのを確かに感じた。
これなら闘える……来斗はそう、確かな自信が持てていた。
グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!
聖竜(ホーリードラゴン)は咆哮を上げる。
しかし、聖竜(ホーリードラゴン)の脅威は健在であった。二人の闘いは続く。
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