四竜との闘い……そして変わる運命

「「「「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」


 四つの巨大な竜が咆哮を上げる。ミスリルゴーレムとの再戦の後に行われたのは四竜との再戦だった。前回の戦闘の時に、感じていた恐怖は来斗にはなかった。四竜の放つ、圧倒的な威圧感は健在であるにも関わらず……。


 あの時の来斗には何もなかった。LVも装備もスキルも……。しかし、今の来斗は違った。ここに来るまでの間に、相当な下準備をしてきた。LVも上げて、装備も揃えた。


「ステータスオープン」


 来斗は四竜のうちの一匹ーー火竜(レッドドラゴン)のステータスを見やる。


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モンスター名 火竜(レッドドラゴン) レベル:50


攻撃力:300


HP:500


防御力:300


素早さ:300


魔法力:300


魔法耐性:300


スキル:火耐性 

 

技スキル 炎の息吹(フレイムブレス)


※弱点 水属性


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 ※他の四竜は属性が違うというだけで大まかなLV、ステータスに差はない


 確かに強大な怪物(モンスター)ではあった。流石は怪物(モンスター)の中の怪物(モンスター)である、竜(ドラゴン)だけの事はある。


 だが、成長(レベルアップ)した今の来斗が効率的に闘えば、もはや決して手が届かぬ敵ではないのだ。


 ボワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 火竜(レッドドラゴン)は炎の息吹(ブレス)を吐き出す。紅蓮の炎は来斗を襲う。しかし、以前よりも成長(レベルアップ)している来斗にとって、もはやその攻撃を避ける事は困難な事ではなかった。


 来斗は属性剣(エレメントソード)に水属性を付与(エンチャント)する。来斗の属性剣(エレメントソード)が真っ青に染まった。


「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 来斗は属性剣(エレメントソード)を火竜(レッドドラゴン)に見舞う。弱点属性による、痛烈な一撃が火竜(レッドドラゴン)を襲った。


 ザシュッ! 小粋の良い音と共に、火竜(レッドドラゴン)の鋼鉄のような皮膚が斬り裂かれ、肉までを絶つ。


「やった!」


 来斗は喜んだ。自身の成長(レベルアップ)を……あの竜(ドラゴン)を倒せるまでに成長したという実感に歓喜していた。


 ーーだが、当然のように喜ぶには早すぎた。この第30階層には四匹の竜がいる。そのうちの一匹を倒したというだけだ。


 継いで放たれたのは、雷竜(ライトニングドラゴン)による雷の息吹(ライトニングブレス)であった。


「うわっ!」


 来斗の攻撃により、生じた一瞬の隙を雷竜(ライトニングドラゴン)は見逃さなかったのだ。放たれた凄まじい、雷の息吹(ライトニングブレス)は雷斗に襲いかかり、全身を襲った。


 かつての自分であったならば、即死してしまいかねない一撃。


 ーーだが、今の来斗は違った。ここにくるまでのレベル上げと、それから手に入れたミスリルプレートによる、装備の力もあり、来斗はその凄まじい雷撃に耐えうる事ができたのだ。

 いける……ダメージは負ったとはいえ、闘えない程ではない。来斗はこの戦闘での勝利を確信した。


 来斗は竜(ドラゴン)によって、属性剣(エレメントソード)の属性を変え、弱点を執拗に突き続けた。効率的に避け、防ぎ、そしてダメージを与え続けた。そしてついに、勝利(終わり)の時がやってくる。


 ズドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!


 ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


 凄まじい断末魔を上げ、最後の四竜である、地竜(アースドラゴン)が果てた。


「はぁ……はぁ……はぁ……やった」


 来斗はついに、第30階層のボスである四竜をソロ攻略する事に成功したのだ。だが、倒すまでに負ったダメージは相当なものだった。


 後で回復魔法(ヒーリング)を習得するか、回復薬(ポーション)を生成して、HPを回復させる必要があった。


 あれだけあったHPがもう僅か(ドット)しかない。


 四竜が倒れると、その骸は塵のようになり、消え去っていった。そして、アイテムがドロップされる。倒した四竜に相応しい、アイテム。そして経験値を来斗は手に入れる事ができた。


来斗は『四竜の魔結晶(エレメンタル)』を手に入れた。『四竜の魔結晶(エレメンタル)』は強力な装備を作る際に必要になってくる、レアアイテムであった。


 来斗はここで引き戻るか……あるいはもっと奥深くに潜るか悩んだ。だが、来斗は結局潜る事にした。


 毒を喰らわば皿までという言葉もある。やがて迫り来る危機に備える為に、来斗はより強くならなければならなかったのだ。


 来斗は地下迷宮(ダンジョン)のさらに奥深くへと潜っていく。


 そこで来斗は前回とは大きく異なる、ある出来事に巡り会う事になるのだ。

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