食料調達へ向かう
不幸中の幸いだった事がある。
来斗は戦闘力のない外れ天職に選ばれた、という事で基本的に荷物持ち(ポーター)の役割を担っていたのである。
その為、来斗はある程度纏まった食料、及び水などの生きていく上で必要なものを持ち合わせていた。
だが、その食料や水とは有限のものである。いずれは尽きるものだ。地下迷宮(ダンジョン)での生活も長引いてきた頃、食料も段々と尽きてきた。
「そろそろ食料が必要だな……」
オーク兵を幾体か倒してきた来斗ではあったが……何となく、その亡骸を食事とするのは憚られた。
「食えるのか……こいつら」
異世界二週目の来斗と言えども、全知全能ではない。知らない事もあった。基本的に前回の知識にない事は当然のように知らないのだ。
「食わない方が良さそうだ……あまり食いたくもない」
来斗はそう思った。腹でも壊しそうだった。
「この階層(エリア)の北側に作物が実っている……それを取ろう」
来斗は知っていたのだ。前回の経験から、どこに行けば食糧を得られるかに。食糧というのは重要だ。確かに人間食わなければ死ぬが、何でもかんでも食べていれば毒にでも当たりかねない。
食べる事は重要であるからこそ、食べる物は選別しなければならなかった。
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
「あった、あった……ここだ。ここ」
階層(エリア)の北側に移動すると、そこには実りある大地があった。様々な食物が実っている。それだけではない。食用に適していそうな、鶏や豚などの家畜が用意されていたのだ。
この中間地点で食糧を補給し、さらなる地下階層を目指すのがこのダンジョンでの攻略の鉄則(セオリー)でもあった。
「……っと、その前にだ」
来斗は属性剣(エレメントソード)を構えた。
「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」」」
地面から無数のモンスターが出現する。この領域を守る守護者、といった存在だ。このダンジョンを作った創造主の思惑だろう。ただで、食料だったりアイテムを渡すつもりはないという事だ。
何のリスクも苦労もなく、何かを得る事はできない。そういう意図を汲み取る事ができる。
地面から出没したのは樹木の怪物『ウッドマン』だ。木で出来た化け物のような、モンスターである。それが複数体現れた。
「「「「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」」
ウッドマンの群れは触手を伸ばして攻撃してくる。
「ちっ!」
来斗は属性剣(エレメントソード)で斬り刎ねた。ウッドマンの触手が両断される。
「いける……」
流石に前よりはレベルがあがっていた。今のレベルは15程はある。前よりは確実に敵の動きが滅入るようになっていた。ウッドマンのLVは20前後だ。来斗はウッドマンのステータスを見やる。
「ステータスオープン」
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モンスター名 ウッドマン レベル:20
攻撃力:50
HP:100
防御力:50
素早さ:50
魔法力:50
魔法耐性:50
スキル:特になし
弱点属性:火属性
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見た目通りのステータス。そして弱点属性だった。木で出来たウッドマンは火属性が弱点なのだ。
来斗の持っている属性剣(エレメントソード)の剣身が真っ赤に染まる。灼熱の炎をその身に宿したのだ。
「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
来斗はウッドマンの群れに斬りかかる。
「「「「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」」」」
ウッドマンの群れは来斗の攻撃により、一瞬にして果てた。それにより、来斗は食糧だけではなく、相応の経験値も得る事になる。
「よし……それじゃ、食糧を頂いていくか」
障害を排除した来斗は食糧を持ち帰る事に成功する。
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