奇襲成功
「はあああああああああああああああああああああああああああ!」
来斗は高台から飛び降りた。そして、一匹になったオーク兵相手に襲い掛かった。
「なっ、なにっ!?」
頭上というのは大抵の生き物にとっては死角だ。亜人のような、人間に近い形のモンスターが相手なら猶更の事。
頭上からの攻撃という、虚を突けば奇襲を成功させる事は難しくはなかった。
「ぶほっ!」
オーク兵の体を来斗の属性剣(エレメントソード)が貫く。重力を利用した一撃は痛烈ではあったが、それでも尚、オーク兵のHPを削り切るには足らない。
オーク兵のLVは30といったところだ。雑魚ではあるが、今の来斗のLV——戦力では十分に強敵である。
「く、くそっ! 人間のガキがっ! どこに潜んでやがったっ!」
オーク兵はそれでも怯まずに反撃を試みる。しかし、ここで属性剣(エレメントソード)の効果が発揮される。ちなみにではあるが、オークの弱点属性は火属性である。来斗はその弱点を突く事にしたのだ。
来斗は属性剣(エレメントソード)が秘めている四つの属性のように、オーク兵の弱点属性である火属性の魔法を発現させた。
「う、うわああああああああああああああああああああああああああああああ!」
オーク兵は悲鳴を上げた。紅蓮の炎がオーク兵に襲い掛かる。ただでさえ、炎に焼かれるというのは痛手である。だが、それが内面から焼かれるとなるとまた話が異なった。剣先を通じて、放たれる紅蓮の炎。体内で暴れまわる紅蓮の炎に、オーク兵は焼かれ、苦しんだ。
「こ、こいつ……」
オーク兵は朽ちる。
ドサッ。地面に崩れ落ちた。残ったのは丸焼けになった豚人(オーク)の死体のみだ。
来斗はオーク兵の死亡を確認し、属性剣(エレメントソード)を引き抜く。
『レベルがUPしました』
どこからともかく、声が聞こえてくる。LV1の来斗がLV30のオーク兵を倒したのだ。
それなりにLVもあがっている事だろう。
「ステータスオープン」
来斗はステータスを開き、確認する。
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三雲来斗 16歳 男 レベル:10
天職:無名剣士【ノービス】
攻撃力:50
HP:50
防御力:50
素早さ:50
魔法力:50
魔法耐性:50
スキル:錬成
装備属性剣(エレメントソード)攻撃力+50
※四属性の属性効果が付与(エンチャント)されている。
旅人の服。防御力+10
※獲得SP100
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流石に初期LVの1からLV30のオーク兵を倒したのだ。一匹だけとはいえ、それ相応の経験値を手に入れる事ができた。
一気にLVが9もあがった。LVが10倍になったわけだ。それに応じて、ステータスも向上した。
来斗はより下の階層へ進む自信をつけた。きっとやれる、やれるはずだと。
こうして外れ職業とされた無名剣士【ノービス】の快進撃が始まるのであった。
来斗の加速度的な成長(レベルアップ)は誰も想像していなかった程のものであった。
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