人間に転生した悪魔だけど、人間のことが好きになったので守ってみる

第1話 最強の悪魔は転生する

戦闘の跡が見られる、燃え盛る森。

ところどころから聞こえる断末魔。

それを上空で見下ろしてる2つの影があった。

「カルーティア。お前はこの私に歯向かったことを後悔しながら死ね」

一人は金色の髪を後ろに伸ばした、神々しい光を放つ者。

『最高神』

その目の前で、空中でフラフラと飛びながら、仲間たちが奢られるざまを見るのは、

「はっ、俺様が後悔するだと？戯け！俺様は未来永劫不滅だ！」

黒色の短い髪をし、血色の瞳で最高神にそう言いながら血を吐いている者。

『憤怒』の悪魔。

「そうか。ならば見せてみよ。お前の不滅を」

最高神がそう言った瞬間、天から眩い光が差し込んだ。

森の中で戦っていた悪魔たちは

「ああ、もうだめだ」

「こんなの勝てるわけねえ」

戦意を失い、逃走を図る。

「っ！…かかって来やがれぇぇぇ！」

憤怒の悪魔は絶望に怯えず叫ぶ。

「これが、神罰だ」

天の光が、憤怒の悪魔を照らす。

「ぐああぁぁぁぁ！！！！」

光を受けた悪魔は…

消滅した………はずだった。

あれ…？俺は死んだはずじゃ…

なんで意識があるんだ…？

っ…光だ…眩しい……

「奥様！産まれました！元気な男の子です！」

どこだここは。見知らぬ場所だ。

なぜ見覚えのないメイド服の少女に抱かれている。

「あうあ〜う」

声を出そうとするが上手く喋れない。どうなっている。

「ミナ。産まれたぞ。元気な男の子だ」

目の前に来た赤髪のイケメンが言う。

ミナ？誰だそれ。

「私の子供…リヴィール」

……まさか？

俺は自分の手を見る。

ああ、そうか。俺、

人間に転生してしまったみたいだ。