第5話お食事の時間のホムンクルスちゃん
「何が、おきたのでしょう?」
先ほどの閃光で、まだチカチカ目を擦りながら私は現状確認を急ぐ。
まずは自身の左腕から。
「途中まで刺さっているこれは、どうみてもレベル二のスキル・ラビッシュ、です」
腕から飛び出している部分に、そっと触れてみる。これも抜けないし、これ以上刺さらない。
「スキルはどうなったのでしょう。スキルステータス、オープン」
まるく、魔法陣が広がる。
そこにかかれていたのは、「砂礫喰い」のスキルの文字だった。
「悪食が消えて、別のスキルを習得しています! この、されきぐい? ですかね。これも文字が点滅しています」
試しに触れてみると、悪食のスキルの時と同様、外す事も出来るようだ。
「悪食のスキルが二つ習得出来たら、片方を試しにはずしてみるつもりでしたから、あてが外れてしまいました。これ、悪食のスキルが二つ統合されて、新しいスキルに変わったと見るべきですよね」
その時だった。
きゅーという小さな音が聞こえる。
それと共に腹部に感じる、違和感。
腹部の中で何かがぎゅっとつかまれているかのような、そんな始めて感じる感覚がする。どうやら先ほどの音も同じ箇所からしていたようだ。
「これは一体なんです? ──ああ。空腹、という物ですか」
生まれてこのかた何も食べていないために、体が食べ物を求めているらしい。
「人間は、こういう時に、何か生き物を食べるのですね」
詰め込まれた知識をもとに食べ物と言うものが室内にないか探す。それらしき物はない。
「どんどん空腹が強くなっています。──与えられた知識によれば、補食行動をとる際は、他の捕食者から襲われる危険性が高そうです。今の状態で、部屋から出るべきでしょうか」
悩んでいると、足元に転がる部屋の壁の欠片が目にとまる。先ほどのゴブリンが壁に激突した際に飛び散った物だろう。
私はひょいっとそれをつまむと、何の気なしに自らの口へと運んだ。
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