女子3人、夕陽の見える温泉で裸の付き合いをするんだが
国道一○一号線から脇道へ右折し、線路を通って真っ直ぐ行くと、目的の温泉がある。
「おっ、着いた着いた」
地表に大きく突き出た
「ここ?」
菜々ちゃんが車から出ると、海からの冷たい潮風が頬を凪いだ。魚の気でも感じたのか、ゆずは菜々ちゃんの腕の中で小さく鳴いている。
私たちの目の前には石でできた立派な旅館に、達筆な字で書かれた看板がかけられていた。
「そう、ここが今日の目的地、不老ふ死温泉です! ささ、入ってもっと美人になるわよ~」
ここの温泉は、学生のとき一度連れてきてもらってから来てなかったけど、やっぱり少し新しくなってる。内装も豪華だし、いいところね。
私たちは早速お風呂に入ろうとした。しかし、建物に入って受付のお姉さんに聞くと、日帰り客は本館のお風呂をご利用くださいとのことで、新館から本館まで百メートルほど坂を下った。ちなみに、受付の人はお化粧もさっぱり目で上品な美人だった。
「これ、本館の位置がわかりにくくない?」
寒空の中、菜々ちゃんが愚痴っている。ゆずは降ってきた雪が鼻に乗って、おもわずくしゃみをする。
「わっはは、前来たときより大分変わってるわね。温泉前のいい運動になった!」
「れいにゃん、私、温泉大好きなんだ。期待しちゃうからね」
私は親指を立てた。
「ここの深浦町はマグロの水揚げ日本一だから、お風呂から上がったらマグロステーキ丼でも食べに行きましょうか」
「わーい! マグロだ! 私、マグロ大好き!」
菜々ちゃんが目を輝かせる。
「食いしん坊ねえ」
菜々ちゃんらしくていいけど。
「食欲も女子力だよ」
「確かにね」
「んにゃにゃ」
菜々ちゃんは意気揚々とそう言った。三分ほど歩いて、ようやく私たちは本館に着いた。
本館に入って一人六百円を払い、脱衣所に入る。私たちは凍えた身体を早く温めたかったから、さっさと着替えを済ませて浴場に急いだ。
浴場は酷く曇っていた。次第に目が慣れると、黄金色の内湯が目に飛び込んでくる。辺りには硫黄の匂いが漂い、浴槽の底が見えないほど湯質は濁っていた。
「思ってたよりも、ゆずって温泉に浸かるの嫌がらないんだね」
菜々ちゃんは、ゆずを抱きかかえて温泉に浸かった。ゆずも最初、恐る恐るといった感じで足を湯船につけたが、やがて観念したかのように全身をお湯に委ねた。
「猫のときからお風呂好きだったからね」
「中々、通な猫ちゃんですなあ」
ゆずの頭を撫でてあげると、ぷへ。と、変な声を出した。私たちはそれを聞いて笑った。
「んにゃぁ~」
ゆずはお湯の中で菜々ちゃんのお膝の上で、融けた顔をしている。
他の客に猫耳としっぽが生えていることについて注目されるかと思ったけど、ちょうど人も少なくて、湯気で視界も悪いから上手くごまかせてるようだ。
「ここのお湯、乳白色でお肌にいいのよ」
すくい上げるお湯がミルクみたいに濁っていて、手触りがいい。これは日頃の疲労やストレスに効きそうだ。
「あ゛あ゛~気持ちええんじゃ」
菜々ちゃんの千鳥のノブの真似に盛大に吹く。
「あっはは! ここの温泉、露天風呂が混浴で、海の真横にあるんだけど、後で行く?」
「本当! 行く!」
菜々ちゃんがゆずを手放すと、ゆずは気持ちよさそうに湯船の中で犬かきをしている。
「ふぃ~」
菜々ちゃんは、浴槽の縁に背中を預け、気持ちよさそうに身体を伸ばしている。そのたびに、菜々ちゃんの胸部装甲が盛大に主張する。
「ところで菜々ちゃん、凄いスタイルね。特にその、おっぱいが」
先程から、私の視界にチラチラ映っていて気になっていた、湯面に浮かぶひょっこりひょうたん島。この若さゆえのハリとツヤ、そしてボリュームは、三十代の私には中々お目にかかれない代物だ。
「触ってみますか。女子大生の肌」
私がチラチラ見ているのを気づいていたようだ。菜々ちゃんは嫌な顔ひとつせず、ご自慢の双丘(そうきゅう)を持ち上げながら、とてもいいキメ顔でそう言った。
「いいんですか? えっへへ、では、失礼して……」
快い申し出に思わず畏まりながら、何か尊いものを承るように、私は震える指を菜々ちゃんのそれに沈み込ませた。もみ。
「うおお」
これが女子大生の肌か。揉み応えもさわり心地もまるでマシュマロのように柔らかく、絹のように繊細で透明だ。何より、吸い付き具合が違う!
「うっわ! れいにゃん、おっぱい大きい!」
女子大生が私のすきを狙っていたかのように、私の乳房を鷲掴んでいた。
「こら、どさくさに紛れて!」
こうなってしまっては引くことができない。私は遠慮を捨て、さっきよりも念入りにもみもみする。しかし、おかえしとばかりに菜々ちゃんも私の胸を刺激してくる。
「れいにゃんだってさっきから私の胸ずっと揉んでるじゃん」
ううん、一度揉んでしまうと止めどころがない。このおっぱいは、それだけの魅力がある。もみもみ。
「きっと、いいもの食べてるのねー」
およそ二十年もの間、極寒の試される大地で育ったこのおっぱいは、北の土壌や海から恵まれた栄養を十全に蓄えていた。ここまでのものとなると、揉みしだける機会は、三十五年生きてきて一度も無かった。
「ちなみに何カップ?」
もみもみ。この手触りで行くと、Dかな。
「D」
菜々ちゃんの目がマジだ。彼女も夢中で私の胸を揉んでいる。
ゆずは泳ぐのにも飽きたのか、浴槽の縁に登って、何やってんだコイツラという目でこちらを見ている。
「私と同じだ」
さっき、脱衣所で菜々ちゃんのブラを見たときに思ったけど、着痩せするタイプだなと思った。もみもみもみ。
「ぐへへ」
菜々ちゃんの手が段々といやらしくなってきたので、こちらも負けじと揉み返す。もみもみもみもみ。
「二人で乳もみ合って、一体何やってるんだろう」
「本当に」
この後、露天風呂に移動し、今度は三人でイチャイチャしていたところ、のぼせてしまった。ちなみに、日帰り客は夕方四時までの入浴らしく、途中で時間が来たため、追い出されてしまった。
「今日の日の入りは四時十三分らしいね」
待合のロビーでフルーツ牛乳を煽りながら、菜々ちゃんが言った。館内の柱の掲示物には、どうやら毎日日没時間を貼り出しているらしい。流石、夕日の町深浦を名乗ることはある。
「時間的にもそろそろだね。見に行く?」
「にゃにゃにゃにゃにゃ……」
マッサージチェアで小刻みに揺れているゆずを連れて本館を出る。
私たちは、旅館から出てすぐの、日本海に面した岩礁まで歩いていった。
辺りは岩の上に薄く雪が積もっていて、数人の旅行客がスマホや一眼レフを持って立っていた。晴れていないと夕陽が見えないらしく、雪は弱まっていたが、海の上には薄い雲がかかっている。
「さあ、どうかな」
「せっかくここまで来たんだから、夕陽くらい見て帰りたいねぇ」
「んにゃ」
私たちは手を合わせて拝んだ。すると雲の切れ目から、暖かく輝く光が少しずつ顔を見せ始め、白と黒のコントラストの岩礁を、明るい橙色に染め上げた。
私たちは、空と海の境界を見ていた。
茜色の欠片が海に
「見れたね」
「ね」
「にゃ」
私たちは余韻に浸っていた。冷たい冬の海風は、温泉で火照った頬を、優しく撫でた。
「ぐぅ~」
菜々ちゃんのお腹が鳴った。続いて、私とゆずのお腹も鳴った。
「ご飯、食べに行きましょうか」
「うん!」
この後、みんなで不老ふ死温泉食堂に行った。
おっぱいの話で盛り上がりながら食べたマグロステーキ丼は美味しかった。
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