第32話 盗賊団の正体

 日が暮れた。

 食べ過ぎないよう、夕食は早めに済ませ、盗賊団の襲撃を待っていた。


「待ってると襲って来ないもんだな」

「このメンバーが待ち構えておる所を、襲って来る盗賊は不運だな」


「リンにレムもう寝ろ」

「兄貴は寝ないのか?」

「レム!俺は女だ、姉貴と言え!!」

「ルイ兄貴、又々冗談!余裕かまして!!」

「レム!ルイ兄様の邪魔しない!!」

「リンも、俺は女だって何度言わす」

「ルイ兄様余裕ね!素敵!!」

「お前ら、俺よりちょっと可愛いからって·····」「兄貴!!来た!!」


「どれっ·····見えねぇ!レム位置を教えろ!!」

「兄貴、僕の指先の方向2キロ先だよ」

「真っ暗でサッパリ分からんが、こっちの方向だな!」

⦅ジン!火の攻撃って有るか?⦆

「あるよ!ドラゴン火炎ブレス」

「ジン3!」「あいよ!」「火炎ブレス」


 火炎が一直線に進み、敵集団を包んだ。

「ジン4飛行!!」「あいよ」


 俺は一直線に、燃える敵集団に向け飛んだ。

 敵集団、凡そ500の後方に降り立ち「ジン2」

 敵を薙ぎ倒す。


 超高速移動の俺は見えていない、敵集団は見えない攻撃者に恐怖し、暗闇の中無茶苦茶剣を振り回し、敵同志が斬り合ってる。


 少し離れて、相討ちを眺めていると、敵指揮官が叫ぶ。

「相討ちしてるぞ!!止めろ!!!」

 ここで止められると、面白くない。

 無言で敵を斬り伏せて行く。

「「ギャッ」」「「ギャッ」」

 斬られた敵の悲鳴で、剣の振り回しが再開され、相討ちも再開された。


 コッソリ指揮官の後ろに回り、首にヤンワリ手刀を当て、気絶した男を抱え「ジン4飛行!」飛んで防壁上に帰った。


「ルイ!!お前は相変わらず無茶苦茶な奴だな」

 捕虜を抱えて帰還した俺に、サガが呆れた様に声を掛けてきた。


「敵は見えない相手に脅え相討ちしてる、こいつを訊問して正体を探る」

 気絶してる男の、指を無造作に折った。

「うっ?イギィ!!」「ジン3回復!」

 男の指は、何事も無かった様に回復してる。

 痛みが治まり、安心した所を、またポキリと折った。

「ギィ!!」「回復!」

「お前はどこの兵士か?言うまで繰り返し折る!!」

 ボキッ、ボキッ、二本折ってみた。

「グッ!!ギィ!」「回復!」

「次は3本折ってみる」

 ボキッ、ボキッ「ま、待ってくれ!!話す·····」

「聞こうか!」「治して···くれ」「話せば治してやる」

「フ、フズ王国は、ノットリ帝国と共に、ルイ仙人に滅ぼされたはず·····」

「余計な詮索は不要」ボキッ!!「ギャッ」

「わ、私は···ギル···帝国·····」

 柔な奴だな、根性無し気絶してる!!

「ルイ!ドン引きだ!!」「ルイ兄様!ドン引きよ!!」「ルイ兄貴!ドン引きだ!!」

 理不尽だ

 3人から同じ非難を浴びせられた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る