第20話 アラスを占領するぞ

 中村に駆け付けたサガ王が見た物は、略奪品を満載した3台の馬車と、21人の首無し兵の遺体が転っていて、村人達が兵の遺体から鎧や剣を剥ぎ取っている所だった。


「ルイ仙人は何処だ?」

「城主様は、継ぐ村の方に行かれました」

 中村村長が、おずおずと答た。




「この調子だと、継ぐ村の略奪兵も始末しておろう、シロ殿チョカク将軍に軍を召集するよう、知らせてくれぬか」

「了解しました!行ってきます!!」


 シロは荷馬車の馬を解放、裸馬に飛び乗り駆けて行った。


「鞍の無い馬に、器用な奴だな」

「俺達ルイ仙人様に鍛えられたから」

「読み書きから、剣術弓術格闘技に乗馬厳しく仕込まれた」

「そうか?儂も仙術を指導して貰いたいのぅ!」



 思った通り継ぐ村の略奪兵も、首無しになっておった。

 ルイ仙人は、えげつない拷問じんもんを隊長と思われる兵に行っていた。


 指を一本折っては、仙術で回復させ訊問、違う指を折って回復させ訊問しておる。

「あれを繰り返されたら、心が折れる!えげつないぞ!!」

(成る程!村人が殺されたのか)



 拷問じんもんが終ったようだ。

 ルイ仙人が、遺体にすがって泣いている二人の子供に声を掛けた。


「おいっ!そこの二人!村長の関係者か?」

「はいっ!次男ツイギ」「三男サイギ」

「そうか···親父殿と兄さんの仇を討つか?」

「「はいっ!!!」」


「右手で柄を確り握り、左手で柄頭を押さえ腹の位置で構え、体当りで相手に射し込む!!」

 二人に短刀を渡し、構えを教えておる。


 ルイは素早く、隊長の胴鎧を剥ぎ取り、立ち上がらせた。

 隊長は虚ろな目をしている。


「ツイギ!サイギ!ぶち当たれ!!」

「「うぉーーーおぉ!!!」」


 狙ったので無く、偶然であろうが、ツイギは力み過ぎたのか、短刀が斜めに押し込まれ、肋の隙間を突き心臓に達したようだ。

 サイギは右脇腹に、深く短刀を押し込んでいる。


「みごと!!仇討ち見届けた!!!」

 興奮か、プルプル振るえておる二人に声を掛けた。


「ゴロ!サガ王!後を頼む!!」

「ルイ仙人はどうする?」


「俺は、アラスを潰して来る!」


「ま、待て!!」

 消えた?行ってしもうたか、無茶だ一人で!!!

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