第4話 親父の奴···

「普通の12歳なら、こんな事は勧めんが、ルイの狩猟技術は俺を越えてる、誰にも負けん実力がついた、こんな村に燻る人材じゃ無い!!可能性を試せ!!追求するんだ!!」


 師匠の、熱い言葉に背中を押され、俺は旅立つ事に決めた。


 師匠の勧めが切っ掛けだが、辛気臭せぇ百姓仕事なんて、したくもねぇそんな気持ちの方が勝ってるけどね。



 おばさんが縫ってくれた、丈夫な旅人の服を着て、寝袋になってるマントを羽織り、肩掛けカバン、腰には山刀、背中には弓と矢筒は左向き、剣を右向きにクロスして背負ってる。

 かなりの重量が有るけど、腕輪の力1で軽々と歩けた。


 別れは昨日の内に済ませてる、貧乏村の住民のくせに、餞別だってお金が結構集まったよ。

 親父の奴は相変わらずシミッタレ野郎「明日旅立つ」「そうか」だけ、親娘の会話じゃねぇ

 まっ、清々して良いけどね。




「「無理をせず、いつでも帰ってこい!!」」

 突然呼び掛ける二人の声に振り向いた。


「師匠!親父?」


 うなずいて、右手を上げて。


「行ってきます!!」やっと声がでた。




 まだ、辺りは薄暗い、俺は走って村を出た。

「なんでぇ!まるで親父のよう·····親父だった·····くっそう!なんでぇ、今更」


 暫く涙が溢れるに任せてた。







「泣いててもしょうがねぇな」


「さて、どっちに向かう?山や森に向かっても意味ねぇ!選択は東か南、王都を目指すか港町を目指すか」


「おい!ジンお勧めは?」

『我には、今の世界情勢は分からん』


「聞いた俺がバカだった、他国や島国に行くなら港町、安全な旅になるが、今の俺には意味の無い旅になる、ヤッパ危険でも、王都を目指すか」

『主、判断出来るなら、我で遊ぶな』


「いや、心細くて、ジンと会話してぇ訳じゃねぇぞ」

『主の心は見透せる、心細いか』「けっ!!」





 暫く無心に歩く、気付けばお天道様が真上に

「朝メシも食わずに歩いてたが、全然疲れん?」


『疲れていない気がしてるだけ、昼食休憩を勧める』

「そうか?じゃ、休憩するか」


 肩掛けカバンを開き、おばさんが持たせてくれた、干し肉と乾パンを水筒の水で流し込む。

『ユックリ良く噛んで喰え』

「お前は、おかんか!」

『身体作りに必要』

 意外にまとも、こいつもたまに、良い事言いやがる。



 水筒をカバンにしまうと、底に入れた覚えの無い袋を見付けた。



 重い袋には、30枚の銀貨と手紙が入ってる。

「何だろ?」

 手紙には、下手くそな親父の字で

「金を入れて置く、気をつけて、元気でな!」


「·····なんでぇ、バカ野郎!こんな金を持たせて、自分が困るだろうが!!!·····くっそう!親父ぃ」

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