第3話 12歳の旅立ち

「指輪!ひでぇぞ!いてぇじゃねぇかぁ!」

『主、チョット待った!確か主は女の子であったな?』

「あたぼうよ!俺は女だ!」


『無茶苦茶な言葉だな、師匠とやらに対するのと違い過ぎだ』

「尊敬する師匠と一緒に扱われたいだと?100年はえぇ!」


『我には主の事は全て分かる、産まれた時母親が亡くなり、父親は無学無能、何とか育ったのはクマイと、その家内のお陰か、発育の栄養が足らず、ちっこい身体がコンプレックス』

「うっせぇ!!ほっとけ!」


『1つ間違い、筋肉付け過ぎ、筋肉が骨の発育を阻害』

「へっ?そんな事有り?」

『真実』


「どうやれば、背伸びる?」

『ヤギの乳ガバガバ飲み、ダラダラ寝て過ごせ、不健康な大女に成れる』

「お前教える気、ねぇだろ」


『否、正確に答えた』

「俺はこのまま、背を伸ばしてぇんだ!」

『不可能、チビ良く大男を倒す、修業を勧める』


「お前と話すの飽きた」

『我はお前と違う、ジンと呼べ』

「ジン?指輪のくせに生意気」



「おい!ルイ?大丈夫か?この指何本に見える?」

「師匠?3本」「正解、正気のようだな」


 まずい!はたから見たら、絶対変な子だ、話を反らす·····。


「師匠!イノシシ2頭居る」

「ん?何処に居る?」

「あっち、風上に居る!弓の用意して着いて来て!」







「ルイ?こんな遠くのイノシシ、よく見えたな」

(何で見えたんだろ?)

「師匠、私は右を狙う」「分かった、俺は左」


 二人は呼吸を合わせ、同時に矢を放った。


 右は眉間を貫かれ、どっと倒れ、左は急所を外した様で、逃げようとしてる。

⦅ジン2⦆小声で命令、同時にイノシシに向かい、逃げるイノシシの頭を殴った。


 イノシシの頭は、血煙となり消滅してた。


 見ていたクマイは、呟いていた。

(ルイの狩猟技術、俺を越えた)





 肉の支給に、村人は大喜びだった。







 12歳の誕生日、相変わらず親父は俺の事、無頓着だ。


 朝一番に師匠から剣を贈られ、おばさんは丈夫な生地で、手縫いの旅人の服を贈ってくれた。


「ルイ!12歳おめでとう!親父さんには話を通して居る、こんな貧乏村飛び出して、ルイの可能性を試せ!!」


「えっ?えぇ~~っ?やだよ!師匠と一緒に猟を続ける!!」

「こんな所で、燻るな!ルイだったら何にでもなれる!国を立ち上げ、国王にだってなれる!旅立てルイ!!」


 師匠、女王だよ、俺は女だ!

 ぼそっと呟くルイだった。

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