ナイフを握って分からせた。
エリー.ファー
ナイフを握って分からせた。
俺は絶対に死なない。
みんな、俺のことをいじめる。だから、ここで殺さなければいけない。みんなを殺さなければいけない。
生贄になるのは俺じゃない。みんなだ。みんななんだ。仲間のふりをして近づいて、中途半端なタイミングで裏切って、意味の分からない人間関係を作り出してすべてを零にする。いや、零以下にする。
なんなんだ。
こんなことあってはならないはずだ。だって、皆だってどうしてこんなことになってしまったのかと思っているはずだからだ。
俺は、少しでもいい方向に進めるんだ。
ナイフを持って、ナイフを握って、分からせるんだ。みんなに、俺のことを理解させるんだ。そのために必死になることの何がいけないんだ。何が悪いんだ。
違うかよ。
そうだろう。
なあ、絶対にそうだよなあ。
なあ。
以上のような言葉しか出ておりません。
補足の説明を行います。
これはあるびっくり箱から聞こえてくるものです。男性の声であることは分かりますが、年齢までは正確には分かりません。おそらく、二十代から三十代といったところではないかと思われます。
研究中であるため、これ以上の拡散は禁止となっています。資格者であることの証明を行った上で、映像資料及び画像資料の提供は終了とさせていただきますので、期間内の申請をお願いいたします。
きっと、種があるのさ。
マジックだろ。あれ。
まぁ、マジックだとしてこんな凄い場所でやる勇気は尊敬するけどさ。
今のも聞こえてきた言葉として記録させて頂きます。
みんな、信じようとしないのさ。
だって、理解の範囲外だからね。
でも、それでもいいんだ。事実を変えることはできない。だってそうだろう。
研究をするにあたって、誰かの力を借りるのは当たり前だけれど、それ以上のものを作り出そうとしたら最後は才能の世界だ。
創造だ。想像の世界だ。
でも、不純だ。
この声はいつか聞こえなくなるだろう。でも、それも一つの情緒というやつなのさ。赦されざる光を放つから、それを見に来ると良い。
明日の天気を当てることが簡単になった今、どんな天気だったらみんなにとって都合が良いのかは分からないままだ。
まるで壺の中を覗くような話じゃないか。
なあ、そうだろう。
今の聞こえてきた言葉も記録致します。ちなみに、まとめた資料については音声と記述したものの二つがあります。もしも、借りたい場合は白泉研究員に相談をお願いいたします。以上です。
ナイフを握って分からせた。
刺し殺す以外に誰も分かってはくれなかった。
これが、本当の話なのさ。
恐いよね。
全く、人が狂ってしまっているよ。
でも、これも悦というやつだね。
うん、間違いない。
必死に生きていくという方法や手段が少しばかりねじ曲がってしまっただけで、結構まじめだったりするのさ。
狂わずに世の中に出ていくなんて、狂気の沙汰さ。
世の中に出ることが狂っていて、世の中に出ないことが正常なんだ。
だから、それに気が付くと世の中を壊したくなってしまう。
ああいうものが起きることは悲劇だが、残念なことに成熟した文明が持つ健全そのものなのさ。
君は誰の代表だ。そう、君の代表だろう。
胸を張りたまえ。
この研究は上手くいくよ。
研究対象である俺が言うのもなんだけれどね。
ナイフを握って分からせた。 エリー.ファー @eri-far-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます