第15話 フィールドボス:1

一瞬の浮遊感の後、瞑ったまぶたの状態でも光が落ち着いたことが分かり目を開ける。開けた視界ではまぁまぁ広い草原が見て取れた。警戒しながら周りを見渡す。

「ということでボスのエリアに入って来たんだけど…いない?」

…いや、多分ボスのエリアに入ることが出来たしダンジョンのボスハイディング・ウルクスの時もいたし…まぁそっちは魔法陣ではなく扉だったし頭上からの不意打ちもあったけど…いた事には変わりないからこっちもいるはず。

「うーん、少し歩くのかなこれ?」

「きゅ?」

隠しダンジョン隠れ木の森の方ではもっと整備?された場所だったしね。ユオンも近くで飛んでるので一応の警戒をしているらしい。

「じゃあ行k…っと」

まぁそんなこんなで進もうとした矢先に草むらから突っ込んできたので横に避ける。

「まぁ、このくらいだと避けれるy…っと」

どうやら二段構えでの行動だったようで避けた矢先にさらに別の草むらから二匹出てきて襲ってきたので勢いを「嗣梟」・「鴟梟」シキョウを鞘に収めたまま…【外見欺瞞】の効果によって変化している「杖」と「木刀」の状態で突っ込んでくる勢いそのままに受けずに流して代わりに自身は前に進んで避ける。【外見欺瞞】の使用すると効果が切れるはダンジョン内から道中で使用した感じだと鞘から抜きさえしなければ良さそうなので打撃として使用するのならこっちの方が都合がいい。

「というかユオンの方にも一匹いるね。」

まぁ普通に空中に避けれているから問題なさそうだけど。

「さて、とりあえずは…【ライトショット】!」

光球ライトショットを姿がダンジョンで戦っていた「フォリウムウルフ」に似ているが目は普通の物に見える狼に向ける…のではなく足下の地面あたりを牽制の意味を込めて放つ。最初に攻撃してきたやつはユオンの方向に向かっていったので2体だけだが後方に避けてくれたので今のうちに鑑定をする。


『「グラスウルフ:ver.FB《フィールドボス》」  LV.18


体が草でできたウルフ。ウルフから特殊進化する際に、周辺の草の性質に応じて能力が変化する。本来のウルフより集団戦による攻撃が得意になっており、組織的な狩りが得意。』


「グラスウルフ?」

なんか大分シンプルな名前だね。弱体化していてなお隠しダンジョンの方フォリウムウルフと同じようなレベルなのは気になるけども。見つけるまでが一番大変だからなのかな?

「【ライトショット】っと」

とりあえず一匹に狙いを定めて放つ。直撃を確認することもなく追従するように進み「鴟梟しきょう」を鞘から抜き【外見欺瞞】を解きながら斬りかかり、ダメージを与える。まだ倒れることはないだろうけど…さて、ダンジョンの方で似たようなやつフォリウムウルフと戦ってるしなぁ…ってことは

「これで…1匹目!「ウォン!」…まぁ、やっぱり?無理だよね。」

とりあえず何も知らないかのように演技しながら斬りかかったけどやはりと言うべきか体が葉になって消えて少し離れた位置で元に戻った。違いをあげるなら

「なんかさっきまで居なかった子がいるね」

ユオンの方も戦っているのを横目に見ながら、先ほど戦っていた2体のそばにいる草狼に目を向ける。それらの4体と比べるならちょいとばかり色が変わっている濃くなっている部分があるところかな。


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