第3話 合流

 家に帰った後は、再びシャワーを浴びてから髪を乾かしてから、聖護との集合時間の少し前に間に合わせるような形でログインした。

「よっと、おはようユオン。」

「きゅ♪」

こっちに来たと同時にユオンが頭の上に乗ってきた。どうやら【送還】や【従魔空間】を発動せずにログアウトするとその場で消えるようだ。その場合は、ログイン時に同じタイミングで同じ場所に現れるのだろう。

「とりあえず聖護を探すか。一応何かあった時のためにリアルネームを言わないように気を付けないとね。」

さっきメールで来ていたが、聖護のキャラクターネームは「セイント」と言うらしい。意味は聖人。うん、似合っていると思う。実際の性格も聖人みたいだし。

しばらく噴水周りをまわているとほんの少し背が伸びた聖護がいた。いや、こっちも少し背を縮めたしその影響もあるのかもしれないが。些細な問題だろう。とりあえず近づいて話かけてみようかな。リアルネームはダメと言ったが確認しづらいので小声で問う。

「え~と、聖護であってる?」

「うん、あってるよ。栞暖、いやカナタだよね?」

「そう。」

とりあえず無事に合流はできた。…やっぱり有名人っぽいんだよな。話しかけただけで、さっきよりも周りがざわめいているし。「おい、あの子【聖王】と親しげに話しかけてるぞ。お前知ってるか?」「いや、知らない。リア友か彼女かなんかじゃないか?【聖王】の容姿があのままならモテてるだろうし。…ウラヤマシイケド」といった声が主だ。まぁ、返し方はそれぞれだが。…というよりもやっぱりキャラメイキングで女性によりすぎたかな?さっき話していた通り都合がいいからという部分もあるが、たまにもする機会があるし、特に何も思わないけど。

「とりあえず、場所移動しようか。ここだと目立ちすぎてるし。いいとこあるからついてきて。」

そうセイント、なんか呼びにくいからセトでいいや。セトに声をかけられたので追いかける。

「それでセトはどこに向かってるの?」

「ん?あー、セトって呼ぶことにしたわけね。行きつけのカフェだよ。料理やケーキとかもおいしいし、個室付きで密会にはもってこいだから多く利用してる感じ。」

なるほどね。しばらく雑談をしていたらセトが言っていたカフェに着いた。店名は、「ウィースト トリチュアール店」というらしい。まぁ、トリチュアール店については入れなくてもいいかもしれないけど、他にもあることが分かるし、いいか。

「いらっしゃいませ~!」

「二人で個室でお願いできますか?」

「かしこまりました。空いてる部屋を確認いたしますね。…Aの16の部屋が空いていますね。こちらの鍵をどうぞ。個室の利用は一時間500Gです。」

「ありがとうございます。じゃあ行こう、カナタ。」

「あ、うん。」

ついたらセトが話を進めてしまった。個室ってカラオケみたいなんだな。それにもっと部屋も多そうだし。

「さてと、では改めて。セイントね。すでにカナタはセトって呼んでるみたいだけど。」

「そうだね。セイントって咄嗟に言うときとか言いずらそうだったから。」

「なるほどね。まぁ呼び方は好きにしていいよ。それでこの後は説明に入ろうと思うけど。カナタは【調合】を持ってたし、生産ギルドにも入れるかも。」

「生産ギルド?」

「そう。あー、そういえばギルドに関しては説明してなかったね。この世界には職業、というよりも持っているスキルによってさまざまなギルドに入ることが出来るんだよね。一応、このギルドは条件を達成できれば何個でも入れるんだけど、おそらく今後に追加されるプレイヤーが作るギルドは一つしか入れないと思うんだよね。」

「へー、プレイヤーがギルドを作れるっていうのはなんで?」

「今までのゲームではほぼ常識のように出てくるからね。おそらく出るんじゃないかな?それでカナタが入れると思うギルドは、テイマーに生産、冒険者かな?冒険者ギルドはだれでも入れるからね。」

「なるほど。あー、でもテイマーギルドには少し注意したほうがいいかも。ギルマスの方が新しい従魔に飢えてるという噂があったし。」

「う、飢えてる?」

「そう。僕たちがプレイヤーが最初に仲間にしてくる従魔が同じものばかりだからだろうね。ユオンとか目を付けられると危ないかもよ。あー、勘違いはしないでほしいんだけど、飢えてると言っても奪われるという意味ではないから。ギルマスがモンスターを好きすぎて思いっきり抱きしめにかかるって話ね。最初の方のプレイヤーが少しここらじゃ珍しい従魔を見せた時に思いっきり抱き着かれて従魔がテイマーギルドが嫌いになった。みたいな話があるから出さないほうがいいよっていう話。」

「そ、そうか。ユオンはどうする?」

「きゅ?」

「あー、うん。飛んでるってことね。」

ユオンに問うと、飛び始めたのでそれで避難するということだろう。

「まぁ、僕もついていくし大丈夫だとは思うけど。」

「そっか。それじゃそのギルドとかに行ってみる?」

「そうしようか。まぁ、せっかく来たのだし何か頼む?まだ序盤も序盤だしゴールドもあんまないでしょ?このゲームだとすぐ10,000なんて使い切っちゃうし、おごるよ。」

「そう?じゃカルボナーラで。」

「おっけー。じゃあ、ナポリタンにしようかな。」

しばらく強いてから料理が届き、食べてから部屋を出た。…この世界の料理ってやっぱ高いんだろうな。ひとつ5000してたんだけど。回りの建物とかの時代背景的に調味料が高いのかな?

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