第31話 仕事5

「ステータス」


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名前:二階堂優莉

レベル:424

筋力:30%  体力:30%

速度:46%  知力:25%

防御力:30% 魔力:未開放

魅力:50%

スキル:言語理解、魔導具所持、ストア、恐怖耐性、

    投擲(NEW)、探索(NEW)、気配遮断(NEW)

称号:異世界人、解読師、道士、異界の顧客

残りステータスポイント:110

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 久々に、自分のステータスを確認してみた。

 ここ最近、魔物も出ずレベルも上がっていないので、何も変わっていない。

 何より、現状で不満がなかった。


「う~ん。比較対象がいないと現在の自分の状態が理解出来ないんだよな……。

 それに、何かスキルを作る場合は、スキルポイントが100必要みたいだし、保険に取っておきたい」


 僕の独り言にサクラさんが反応した。


『大雑把ですが、教えておきますね。 ステータス20%で、一般人レベルです。30%だと秀才レベルと考えてください。

 50%となると、かなり優秀です。現在魅力50%ですので、モデルの仕事を熟せるレベルですよ?

 そして、75%まで上げると、歴史に名を残すほどの才能になります。

 オリンピックでメダルを狙えたり、研究職なら莫大な特許料を取れたりします。

 90%とか100%にすると、寿命が縮むほど肉体と精神を行使するのでお勧めしません』


 なるほど……。

 最近、人の視線が気になった理由が分かった。今の僕は、モデル並みの容姿なのか……。

 『他人と気軽に関われる能力』を欲したのだけど、僕が望んだ以上の能力が備わっていたみたいだ。

 モニカさんと会話していた時に気が付いた違和感……。いや、それより前に社長の真人さんとも普通にコミュニケーションが取れていた。

 『何を言っているのか分からない』と言われ続けた、僕がだ。

 イメージと異なるのは、ポイントを多く割り振り過ぎたと言うことかもしれない。

 そうなると、数字だけ見れば、現状でも僕はかなり優秀なんだな。

 そして、まだまだ才能を開花させられると。

 ここで、ふと思う。


『祖母とその先生は、75%以上にした?』


『……そういうことです。短期的には、戦争に勝てたのですが、そこで、身動き出来ないほどのダメージを負ってしまいました。そして、優未さんに助けを求めたのです』


 このシステムを作り上げて、見切り発車でステータスを上げてしまった?

 いや、そこまでしなければ、神樹を守り切れなかったと考えた方が良いな。

 そして、その欠点を補うために、祖母が呼ばれた……。魔導具を作るために。

 なぜ祖母が魔導具を作れたのかは、謎だけど、多分選ばれたのだと思う。


 でも、そうだな。少し実験しておいた方が良いか。

 知力を5%上げて、知力をタップしてみる。


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知力:25%→30% (+5%)

→記憶力:13%→17% (+4%)

→演算力:15%→17% (+2%)

→集中力:35%

→発想:17%

→センス:10%→15% (+5%)

→反射:30%

→視力:40%

→聴力:35%

→嗅覚:35%

→味覚:30%

→触覚:20%→21% (+1%)

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 やはり、連動して上がるけど、各項目で上がり方が異なるのか。

 ステータスは、肉体的・精神的な数字化なのだろうけど、やはり個人差があるみたいだ。いや、これが個性になるのかな。

 先を見て、ステータスを割り振らないと詰む可能性があるな。最上位の魔物を確認しないと、何とも言えないけど。


 最終的な目的が、〈根源なる者〉と対峙するか、ただ魔物を狩り続けるかで異なるけど、今はポイントは使わないでおこう。

 それと、精神にも影響が出ている。

 暴走バイクを害虫のような目で見た自分がいたんだ。それに、ダルクの城壁を破壊した。

 昔の僕であれば、そのような発想は出なかったと思う。

 力を持ったから、本性が出たのかもしれないけど、余り暴力的なことはしたくない。

 異世界と元の世界の感覚のズレ。自分自身の変化。

 二世界に順応しなければならない。

 元の世界では、生活基盤を整えないといけないし、異世界では魔物を狩らないといけない。


「まだまだ、安定には程遠いな……」


『異性問題も抱えていますしね~』


 ん? なんだ?


『もうすぐ、麗華さんが来ますよ~。それと、アドバイスです。そろそろ、お礼にデートにでも誘った方が良いですよ~』


 移動するか。

 でも、それほど親しい間柄ではないと思うんだけど……。


『ほぼ、毎日手料理を作って貰っておいて、その認識ですか?

 通い妻じゃないですか? 鈍いにもほどがありますよ~』


 う……。言い返せない。

 今度、何かお礼を考えておこう。





「優莉さん。昨晩は何処に行かれていたのですか?」


 晩ご飯を頂いている時に、麗華さんからの突然の質問が来た。

 今日は木曜日だ。昨日は麗華さんが来られない日だった。

 昨晩は、少し魔物を探してから、ログハウスで寝ましたよ。


「……困っている友人がいまして、話だけでも聞きに行きました。

 トラブルになりそうなので、少し手伝っています」


「泊まりで?」


「え~と。この家以外にも貰った家があります。

 昨晩はそこに泊まりました。場所は……、教えられません」


「……そうですか。まあ良いです。話せるようになったら教えてください」


 監視されているのか? 異世界に居続けることは出来そうにないな。

 いや、麗華さんに、僕にはその気はないとハッキリ言うべきか?


『ダメな人ですね。ここまでしてくれる相手にそれは失礼すぎます。

 一番の効果的なのは、恋人を紹介することですよ。

 それと、昨晩ですが、お弁当を執事さんに持って来させたのですが、不在だったと言うだけです』


 う……。別に麗華さんが嫌いな訳じゃない。

 でも、異世界のことを教えられないし、自由に動けなくなるのは困る。


『付き合えば、良いじゃないですか?』


 僕にはそんな度胸はありませんって。麗華さんは、とても綺麗な人だし。

 何より、会社の社長令嬢だし……。


『言い訳ばかりですね』


 言い返せない……。





 明日も、バイトだ。

 麗華さんをどうするか早めに決めないとな……。

 本当のことを言うか、諦めて貰うか。


『モニカさんは、どうするのですか~?』


 サクラさんが、さらにプレッシャーを掛けて来た。

 魅力50%……。

 上げ過ぎたのかもしれない。

 コンプレックス解消のつもりが、自分の首を絞める結果になっている。

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