第156話 理想の神の姿

 ゾルド達が戦場に到着する頃には、前線がフィレンツェ北方のボローニャまで押し返されていた。

 だが、戦闘を避けて時間稼ぎに徹していたので被害はわずか。

 街を明け渡し、街の北方30kmの地点で睨み合っていた。

 場所は平原。

 見晴らしもよく、一度戦闘は始まれば一気に大規模な戦いに発展しそうだ。


 だが、ゾルドはこの場所をちょうど良いと考えていた。

 もしも、神教騎士団が街の中で防御を固めていては都合が悪い。

 ゾルドの声が聞こえるような場所にいてくれないと困るのだ。


「それじゃあ、初めてくれ」


 ゾルドが命令を下す。

 まずは神教騎士団との中間地点に、細長い会議用のテーブルと椅子を二十脚用意させる。

 この動きを、神教騎士団は注視するばかりだった。

 さすがに世界の命運を決める戦いの火蓋を切って落とすのは勇気がいる。

 双方共に全軍が集結し、睨み合っているだけなのも、そのせいだ。


 テーブルが設置されるのを確認すると、レスの周囲にいる精霊の中から、風の精霊であるシルフを一人肩に乗せた。

 このシルフにはちゃんと役割がある。


「本当にやるの?」


 レジーナが心配そうに聞く。

 彼女からすれば、これからゾルドがやろうとしている事は自殺行為にしか思えない。

 だが、ゾルドは普通に戦うよりかは勝算がある。 


「もちろんだ。被害が少なく済めばそれに越したことはない」


 この戦いに勝っても、ローマに攻め込めなければ意味がない。

 より確実に、より安全に勝利を収めなければならないのだ。


 これは魔神の戦いでも無ければ、戦士や魔法使いの戦いでもない。

 詐欺師としての戦いだ。

 自分のホームグラウンドなら、まだ若いシューガの子供達や神職者相手に負けるつもりなど毛頭なかった。


「あっ、くれぐれも俺が女好きだとかいう話は禁止っていう事を忘れないでくれ」


 ゾルドは一緒に向かう者達に向かって言った。

 ゾルドの部下からは、ホスエ、ゲルハルト、ビスマルクの三人。

 魔族からは、ジャックとニーズヘッグの二人。

 たった六人で、この戦いを終わらせるつもりだった。


「それは構いませんが……。他にも詳しい事を教えて頂けませんか」


 ゲルハルトが不安そうに言った。

 大まかな流れは聞いているが、詳細を知らないままでは不安だ。

 何かをやらかしそうで恐ろしかった。


「ダメだ。こういうのは知ってたら反応がおかしくなる。お前達には、俺が言った事を初めて知ったみたいな反応をして欲しいから、知らないまま向かってもらう。相手が交渉の席に着く気が無いようなら、全力で逃げるだけだ」


 ゲルハルトは溜息を吐く。

 神教騎士団相手なら、逃げるだけでも至難の業だ。

 彼は軍人ではあるが、参謀職がメイン。

 騎士として精鋭揃いの神教騎士団相手に逃げ切れる自信が無かった。


「僕はパパを信じるよ」

「おぉー、良い子だな。ジャックは」


 ゾルドは自分を信じてくれているジャックの頭を撫でてやる。

 ジャック以外の者達は、ゾルドの自信に反比例して不安を感じていた。

 しかし、いつまでも時間を浪費するわけにはいかない。

 渋々、ゾルドに従う事にする。


「とりあえず、行ってみればわかるさ」


 一行は大人しく馬に乗り、テーブルが置かれた場所へと向かって行った。



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「なぁ、シルフ。俺の魔力を使って、あっちとこっちにここの話し声が聞こえるようにしてくれ」

「いいよー」


 風の精霊であるシルフを連れて来たのはこのためだ。

 シルフはゾルドの肩に乗ったまま、短い歌を歌う。


「オッケー」


 なんとも軽い言葉だ。

 これくらいの事は、それだけ簡単だという事だろう。


「ありがとう。私はゾルドだ。まず、この声が聞こえているのなら、お互いの陣の旗を振って頂きたい」


 ゾルドは立ったまま、他所向けの話し方で声を掛ける。

 まず、ゾルド達の陣からは旗が振られた。

 だが、神教騎士団側からは振られない。

 ……いや、どうするか相談していたのだろう。

 少し遅れて旗が振られた。


「シューガの子供達。そして、神教騎士団のみなさん。私は穏便な話し合いによる解決を望んでいます。現に今、この場に居る者は武器を持っていません。こちらに来て話し合いませんか?」


 これには反応が無かった。

 いきなり襲い掛かって来られなかっただけマシだが、少し寂しく感じる。

 もちろん、反応が無いからといって、簡単に諦めるわけにはいかない。


「私と話し合うという事に警戒しているという事はわかります。ですが、この場での会話の内容は、精霊の力によって双方に公開されます。コッソリと寝返るように交渉したりはしません。シューガの子供達と話をしたいだけです。あぁ、引率者として大人の同行者も居ると良いですね。それと、毒を盛ったと思われたくないので、飲み物と食べ物は持参でお願いします」


 ゾルドは話し終えると、そのまま立って反応を待っていた。

 当然、ゾルドが立ったままなので、他の者達も立って待っている。

 これは座って偉そうに出迎えるより、立って出迎える方が印象が良いからだ。

 だが、やはり神教騎士団側の反応が無い。

 シルフの力で言葉が周囲に聞こえてしまうので、雑談をする事もできない。

 ジッと待っている事しかできなかった。


 十分ほど経った頃、神教騎士団から三人の騎兵が陣を抜けて、こちらへ向かってくるのが見えた。

 先頭を進むのは、まだ十代の若い少年だ。

 おそらくシューガの息子なのだろうと思われる。

 その少年がテーブルの近くまで接近する。


「お前が魔神ゾルドか?」


 馬から降りようともせず、馬上から声を掛ける。


「そうですよ」


 無礼な口の利き方をされたが、ゾルドはイラつきを表に出さず、優しく微笑んで対応した。


「こちらは武装した者百人で来る。お前の望み通り、天神シューガの子供だ。断るまいな?」

「ええ、もちろんです。あなたもそうですよね。お名前は?」

「……俺はミツオだ」


 ミツオは馬から降り、テーブルの席に座る。

 真ん中を避けた事から、あとから兄か姉が来るのだろう。

 ゾルド達は、そのまま後続の到着を待った。




「私が長姉のカズコよ。こちらは騎士団長のピエトロ」


 カズコは髪をベリーショートにした、パッチリお目々の美少女だった。


「ようこそ来てくださいました。私がゾルドです」


 ゾルドはその後、同席者の紹介をしてから手を差し伸べたが、カズコもピエトロも手を取ってくれなかった。

 少し残念そうにゾルドは手を戻す。


「申し訳ありませんが、足りない分の椅子は魔法で作るなりしてください」


 さすがに百人も来るとは思わなかった。

 子供達の中でも年長の者達が用意された椅子に座り、他の子供達は地べたに座ったり、ゾルドの言ったように魔法で椅子を作り出すなど思い思いに座っていた。

 ゾルドはカズコ達が座ったのを確認してから、自分達も椅子に座った。


「それで話とは? 残念ながら、命乞いは聞けませんよ」


 カズコが単刀直入に切り込んだ。


「穏便な話し合いがしたいと言ったはずですよ。みなさんには戦う事なく、引いてもらいたいのです」


 ゾルドの言葉は鼻で一笑に付された。

 こんなものは穏便な話し合いとは言わない。

 気が狂った者の妄言だ。


「私とシューガは同一の存在。シューガの子供という事は私の子供でもあります。自分の子供と争うような事はしたくはありません」

「自分が死にたくないからって、子供を理由にするのはどうかと思うぞ?」


 ミツオがやけに突っかかってくる。

 正直なところ腹が立つが、これくらいは想定の範囲内だ。

 だが、ゾルドが反論しようとしたところで、テーブルの下から近づいて来た小さな女の子がゾルドの袖を引っ張った。


「顔がソックリ。本当にパパなの?」


 まだ小学校に入るか入らないかくらいの幼さだったが、可愛い女の子に上目遣いで見つめられると、ゾルドの頬も緩んでしまう。


「そうだよ。さぁ、おいで」


 ゾルドは女の子を抱き上げ、膝の上に座らせる。

 小さいので魔神としての力を使わずとも、抱き上げられた。


「君の名前は?」

「ナナミ」


 ゾルドはナナミの頭を優しく撫でながら、名前の意味を考える。


(ナナミ……。773ナナミかな?)


 名前の意味はすぐにわかった。

 ゾルドが適当に番号を振っていけば、同じ名前になるからだ。


「ナナミは773番目の子供かな?」

「うん」


 ゾルドの予想通りだった。

 やはり、シューガはゾルドと同じ佐藤俊夫という人間のようだ。

 名前の付け方だけでもよくわかる。


 お陰で、子供達の扱い方も容易に予想できた。

 適当に番号を付けた子供を、わざわざ抱き上げたりしないはずだ。

 身を守る道具に過ぎないのだから、産ませたらそこから先は放ったままにしていると思われる。

 ゾルド自身、ブリタニア島にいるカズオ達は放置しているから、そこの部分は確信を持てた。

 実際、こうして膝に座らせてやっているだけでも、ナナミは上機嫌だ。

 シューガとの触れ合いが無かった分、新鮮な感覚なのだろう。


 しかし、ここで気になるのは、シューガの子供達の反応だ。

 カズコは複雑な表情をしているのに対し、ミツオは勝利を確信したような表情をしている。


「ナナミ、やれ!」


 その表情を不思議に思っていると、ミツオがナナミに命令する。

 咄嗟の事だったのでゾルドは反応できなかったが、何も起きなかった。

 いや、ナナミが起こさなかった。


「ヤダー! こっちのパパが良い!」


 ゾルドの胸に顔を押し付け、イヤイヤと首を振る。


「ナナミ!」


 ミツオが立ち上がろうとするが、それをカズコ達が抑えた。


「ミツオ、あなたナナミになんてことをさせようとしたの」

「うるせぇ、今がチャンスなんだ。ナナミにやらせりゃ、今終わる!」

「そうかもしれないけど、話し合いの席で騙し討ちなんてダメよ!」


 どうやら、ナナミにゾルドを殺させようとしたようだ。

 その方法まではわからないが、ミツオの反応が全てを物語っている。

 だが、ゾルドはここでナナミを殺そうとしたりはしなかった。

 ナナミを引き離そうとしたホスエを止め、優しく地面に降ろす。

 そして立ち上がると、テーブルの向こう側に移動する。


「ミツオ」


 ゾルドはミツオの名前を呼びながら、胸倉を掴み立ち上がらせる。

 かなり乱暴な手つきだ。


「何す――痛っ!」


 ゾルドはミツオの頬を引っ叩いた。

 もちろん、本気ではない。

 人としての力の範囲内で、そこそこ強いというレベルで抑えている。


「おい、良いのかよ! 穏便な話し合いだろう!」


 ミツオの言う事はもっともだ。

 だが、ゾルドは二度、三度と引っ叩く。


「その通り、穏便な話し合いだった。それをぶち壊したのはお前だ。悪さをした子供にはお仕置きをしなければならない。それが親としての義務だ」

「お前なんて親じゃ――痛っ! やめろよ! 姉貴!」


 ミツオはカズコに助けを求めた。

 カズコは長姉として、やむ無く止める事にした。

 ビンタを続けるゾルドの腕を掴んで止める。


「ゾルドさん。それ以上暴力を振るうならば、交渉の席を立たせてもらう事になりますよ」

「暴力? これは躾だ。わかっているのか? 本人が襲い掛かって来るならまだ良い。だが、まだ幼い妹に襲わせるなんて卑劣な真似をしたんだぞ! 親として、大人として二度とこんな卑怯な真似をしないようにお仕置きするのは当然だ! シューガは今まで何も言わなかったのか?」


 激しい剣幕で、ゾルドは叱った。

 ゾルドの言葉に返って来たのは沈黙。

 シューガが子供の教育に関わっていないという事は、ラインハルトの情報によってわかっていた。

 だからこそ、ここでゾルドとシューガの違いを見せつける。

 二人の違いを見せる事が、この交渉における成功への道だった。


「ご、ごめんなさい」


 ミツオが謝る。

 こうして大人に叱られるのは初めての経験だったのだ。

 母だけではなく、周囲の者達も天神の子供という事で叱るような事は無かった。

 初めてきつく叱られた事で、ミツオの体は震えていた。

 根は良い少年なのかもしれない。


「……謝る相手はわかっているな?」


 叩くのをやめたゾルドは、優しい口調でミツオに声を掛ける。

 すると、ミツオもわかっているとうなずいた。


「ごめんな、ナナミ。俺が悪かった、ごめんな」


 涙声になりながら、ミツオはナナミに謝った。

 目も潤み始めているので、自分がやった事の愚かさに遅まきながら気付いたようだ。


「私もやり過ぎた。痛かっただろう。すまなかった、ミツオ」


 胸倉を掴んでいた手を放し、ゾルドはギュッとミツオを抱きしめる。


「おい、バカ。離せよ」


 突然抱き着かれたミツオは、身動ぎして抜け出そうとする。

 だが、単純な力ではゾルドの方が強い。

 ゾルドが離すまでの間、二人は抱き合っていた。

 やがて、ゾルドが腕を緩めて、ミツオの肩に手を置く。


「ミツオ、今度仕掛ける時は自分でやりなさい。……それにしても、なんでナナミをけしかけたのですか? まだ幼すぎるでしょう」

「それは……」


 言いにくそうにミツオが口ごもる。

 ミツオだけではない。

 他の子供達も言いたくないような表情をしている。


「私が魔神殺しのギフトを持っているからだよ」

「ハァッ!?」


 ナナミの爆弾発言にゾルドは演技を忘れてしまい、素で驚いてしまった。


「ナナミ!」

「言うんじゃない!」


 カズコやミツオ達が動揺する。

 その様子から、ナナミが魔神殺しのギフトを持っているのは本当なのだろう。

 まだ幼いので、黙っているという事ができなかったのだ。


(そういや、そんな特技みたいな設定あったな……。ていうか、なんで魔神に対するピンポイントなギフトばっかりなんだよ。嫌がらせか!)


 魔法ではないギフトとかいう生まれつきの特技を持っていたのは、ポート・ガ・ルーで会ったミレーナくらいだ。

 それ以来、ギフト持ちと出会わなかったため、ギフトの存在など忘れてしまっていた。

 ナナミを抱き上げるという行動を取ってしまったうかつさに、ゾルドは肝を冷やした。

 一歩間違えれば、先ほど死んでいたのだから。


 ミツオがあんな態度を取っていたのは、ナナミから気を逸らさせるためだったのだろう。

 ナナミがやる気だったのなら、本当に危ないところだった。


(だが、これはチャンスだ)


 ――ピンチこそ最大のチャンス。


 それが今、この時だ。

 シューガとの違いを強調する絶好のチャンス。

 恐怖で震えそうになるが、ゾルドは席に戻ると、もう一度ナナミを膝に座らせる。


「ナナミ。殺さないでくれてありがとう。こうして話をするチャンスを与えてくれて嬉しいよ」


 ゾルドはナナミを抱きしめる。

 自分を殺せる能力を持つ者を懐に迎える度胸。

 そして、全てを許す慈悲深さを見せつける。


 ゾルドがナナミを抱きしめる姿を、シューガの子供達が見つめていた。

 特に幼い者達がだ。

 ゾルドは魔神とはいえ、シューガと同じ姿をした者に抱かれているのが羨ましいのだろう。


「騙されてはいけません。奴は魔神。まだ若い皆様を騙そうとしているだけです。何か魂胆があるはず、気を付けてください」


 ピエトロが注意を喚起する。

 直感的に場の流れが、このままではマズイと感じたからだ。

 だが、ゾルドは誰かが”ゾルドは魔神だ”と言うのを待っていたとまでは気付かなかった。


「魔神ですか……。そうでした。あなた方がそう言うので、私は魔神でしたね」

我々が言うから・・・・・・・?」


 ゾルドの言葉を聞き逃さず、ピエトロはゾルドに聞き返す。

 何か重要な事に触れた気がする。

 聞かない方が良いような気もするが、口に出してしまった以上、無かった事にはもうできない。


「そうです。私もシューガも神であることは間違いありません。ですが、天神や魔神といった区別はないのです」

「なっ!!」


 動揺したのはテーブル付近に居る者だけではない。

 遠く離れた味方の陣地や神教騎士団側の陣地からも、大きなどよめきが聞こえてくる。


「そんなはずはない! シューガ様はローマに降臨された。しかも、天神像の中からだ。私もその現場を見たんだぞ!」


 ピエトロの言葉遣いが荒くなる。

 神の降臨を目撃した者として、シューガが天神だという事を否定させるわけにはいかない。


「私の世界にも神がいる。神の中の神ともいうべき存在です。その神が、この世界に新しい秩序をもたらすために我らを遣わされた。ですが、天神や魔神という役割までは与えられていません。この世界で伝えられている善の心と悪の心で分けられたりもしていません。まったく同じ存在なのです」


 ゾルドは静かに語り出す。

 神の世界の話を聞く機会など、滅多にない。

 感情を剥き出しにしたピエトロも、これには聞き入ってしまった。


「シューガがローマに現れたから、天神だと思うのは仕方ない事です。では、魔神である私がポート・ガ・ルーに現れたのは、なぜだと思いますか? 本当に私が魔神なら、ロンドンに現れるべきだったと思いませんか?」

「それは……」


 この事に疑問を抱いた者などいなかった。

 シューガがローマの神教庁の中にある天神の像の中から現れた。

 それだけで、シューガが天神だと信じていたからだ。

 むしろ、天神で無ければあんな登場の仕方はしない。


 だから、自然とゾルドが魔神だと信じ込んでしまった。

 シューガが天神ではない可能性など、誰一人考えた者はいなかったのだ。


 だが、ゾルドに言われてみれば、確かに魔神がロンドンに降臨しなかった事が気に掛かる。

 なぜポート・ガ・ルーなどという西の小国に現れたのか。

 その疑問を、ゾルドはシューガの子供達や騎士団員の心に刻み込んだ。


「我らがこの世界に送られた時、現れる場所はランダムに決められていました。この世界の知識を持たされずにね。それは、この世界の人々と交流する事によって、導いていく時に先入観を持たせないためです」

「…………」


 今はこれで良い。

 少しでも疑問を生じさせる事ができたら、それで十分だ。

 これで次のステップへ進める。


「私が話し合いによる解決を望んでいる理由を聞いて頂けますか?」


 拒絶するような言葉は何も返って来なかった。

 ここで話を聞かないと、後で後悔するように思えたからだ。

 ただ沈黙し、ゾルドを見つめる事が彼らの返答だった。


「では、お話しさせて頂きましょう」


(俺のホラ話をな!)


 まずは自分の話を真剣に聞かせる状況を作る。

 最初であり、もっとも最難関であった第一段階を突破できた。

 その事に、ゾルドは心の中でほくそ笑んでいた。

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